[未来帰還-Back to thefuture in 1999-] | |||
最終章 逝く君 後編 | |||
CAST | 番号 | セリフ | 効果・情景 |
■scene01 ■食堂 直実が昼食の準備をしている |
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直実 | 001 | (少し不安そうに)由紀夫、そろそろ昼ごはんが出来るから和幸と悠里を呼んで来て | SE:食器の音 SE:近づいてくる足音 |
由紀夫 | 002 | …和幸と悠里は何処に居るの? | |
直実 | 003 | さっきまで二人とも悠里の部屋に居たはずだけど。 | |
由紀夫 | 004 | 二人とも部屋には居なかったよ | |
直実 | 005 | …おかしいな | |
由紀夫 | 006 | 僕……なんだか嫌な予感がする | |
直実 | 007 | どうして? | |
由紀夫 | 008 | さっき和幸が変な事言ってたんだ…悠里と一緒に行っても…いいのかなって… | |
直実 | 009 | 一緒にって? | |
由紀夫 | 010 | 僕も意味がわからなくて…。でも和幸もそれ以上は喋らなかったから……(ハッとして)もしかして二人で出て行くって意味?だったのかな…? | SE:直実走る音 |
由紀夫 | 011 | あ、直実!待って! | SE:由紀夫追いかける足音 |
■scene02 和幸と直実の部屋 誰も居ない |
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由紀夫 | 012 | 直実…ねぇ…直実ってば…! | SE:ドアの開閉音 SE:バタバタと歩いてくる足音 SE:たんすをあさる音 |
直実 | 013 | 和幸の外套がない、悠里のは? | |
由紀夫 | 014 | 今見てきたけど、悠里の上着も無くなってた | |
直実 | 015 | ……ほんとに二人で出て行ったのか… | |
由紀夫 | 016 | 探しに行こう、まだ遠くには行ってないはずだよ | |
直実 | 017 | (混乱気味に)そんな馬鹿な…ありえない…和幸があんな奴に着いて行くなんて…どうして… | |
由紀夫 | 018 | ねぇ直実!(しっかりしてって感じで)探しに行こうっ | |
直実 | 019 | …まさか本当に和幸を連れ出すなんて… | SE:直実座りこむ音 |
由紀夫 | 020 | すぐに行こう、ほら、直実立って、しっかりして | |
■scene03 屋敷の外 直実と由紀夫が和幸と悠里を探しに出掛ける |
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直実 | 021 | よかった、雪は止んでるのか | SE:北風 SE:屋敷のドアの開く音 |
由紀夫 | 022 | 見て、足跡がある、こっちは…まさか岸壁の方? | |
直実 | 023 | 急ごう | |
由紀夫 | 024 | うん… | SE:北風 SE:二人雪の上を歩く音 |
■scene04 岸壁 和幸と悠里が歩いている |
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和幸 | 025 | 悠里、寒くない? | SE:波の音 SE:北風 BGMin SE:二人雪の上を歩く音 |
悠里 | 026 | 大丈夫、和幸は? | |
和幸 | 027 | 着込んできたからね、大丈夫だよ | |
悠里 | 028 | ねぇ、手、繋いでくれる? | |
和幸 | 029 | いいよ… | SE:衣擦れの音 |
悠里 | 030 | わあぁ、和幸の手、暖かい | |
和幸 | 031 | 悠里の手は冷たいな…氷みたいだ… | |
■scene05 岸壁に向かう途中 直実と由紀夫、岸壁に向かう途中 |
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直実 | 032 | かずゆきーーっ | SE:北風 |
由紀夫 | 033 | ゆうりー!!!! | |
直実 | 034 | かずゆきーー!!!くそぉ…一体何処まで行ったんだ | |
由紀夫 | 035 | 足跡をこのまま追いかければ、きっと追いつくよ | |
直実 | 036 | かずゆきーーーーーーーーーーっ!!!! | |
由紀夫 | 037 | 和幸、悠里、お願い…遠くへ行かないで… | SE:北風 |
■scene06 岸壁 再び和幸と悠里が二人で居る |
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和幸 | 038 | ねぇ………悠里 | SE:波の音 SE:北風 |
悠里 | 039 | 何? | |
和幸 | 040 | そろそろ教えてくれないかな………君は一体何者なの? | |
悠里 | 041 | 何者って? | |
和幸 | 042 | もう隠さないで…君は最初に出会った時から僕の事を知っていただろ? | |
悠里 | 043 | 神社で会った時の事? | |
和幸 | 044 | そう、君は僕が自分で名乗ったと言っていたけれど、僕は君に名前を名乗った覚えはない。それに君に会う少し前に、夢の中ででも君に会っていた。 | |
悠里 | 045 | 僕は… | SE:北風 |
悠里 | 046 | 僕は僕だよ、陸奥悠里という一人の人間。 | |
和幸 | 047 | 悠里… | |
悠里 | 048 | ただね、僕はいろんな事を知ってるんだ。別に信じなくてもいいけど、…でも信じてくれるのなら、僕の側に居てくれるのなら全部話す。 | |
和幸 | 049 | 信じるよ、悠里。ちゃんと教えて、君の事… | |
悠里 | 050 | じゃあ、もっと近くに来て | |
和幸 | 051 | うん… | 近寄る音SE |
悠里 | 052 | 本当に信じる?僕と一緒に居てくれる? | |
和幸 | 053 | もちろんだよ | |
悠里 | 054 | じゃあ、誓いの口づけ、して。 | |
和幸 | 055 | わかった | |
悠里 | 056 | 僕は僕の知っている事を話す、和幸は僕を信じてそばに居る、誓いますか? | |
和幸 | 057 | ああ、誓うよ…(キス)…ん……… | |
悠里 | 058 | っ…ん(息) | |
間 BGM | |||
悠里 | 059 | 和幸…僕はね…君の魂に今まで何度も会ってきた | BGMin |
和幸 | 060 | たま…しい? | |
悠里 | 061 | 馬鹿げた話だと思うだろ?でも本当なんだ。前世の君と、過去の君と…。繰り返し何度も君の魂を追い続けて、僕は何度も生まれ変わってきた。どうしてだと思う? | |
和幸 | 062 | わからない… | |
悠里 | 063 | 僕が君を愛してるからさ。 | SE:波の音 |
悠里 | 064 | 最初に君と出逢ったのは、今より何十年も未来の事なんだ。僕も君も直実も由紀夫も一緒だよ。みんな名前も外見も違うけど、戦争なんてとっくに終わってて、今みたいに食べるものにも困らない、綺麗な服を着て、お風呂だって毎日は入れて。そして僕は君に出会い恋をした。 | |
和幸 | 065 | それで? | |
悠里 | 066 | 未来の僕はとても気が弱くてね、内気な奴なんだ。いつも君に見つめてもらおうと必死に努力しているんだけど、君に煙たがられるばかりで… | |
和幸 | 067 | 今の悠里からじゃ、想像もできないね | |
悠里 | 068 | あはは、そうだね。僕は…君に振られて…。でもその後から僕は変わったんだ。君の魂を求めて、僕は何度も生まれ変わった。過去へ行って、未来へ行って、いや、もう何処が過去で何処が未来かもわからない。君を追い続け、そしてそのたびに直実に邪魔されて…(笑)それでも僕は君と繰り返してきた。 | |
和幸 | 069 | 何を繰り返してきたの? | |
悠里 | 070 | 子供の時間だよ。 | |
悠里 | 071 | (エフェクト・ナレと未来の悠里と合わせて声三重にします)和幸、一緒に死のうよ、子供の時間は一番素晴らしいんだから。 | SE:心理的効果音 |
ナレ | 072 | Let's die together.The childhood is most wonderful. | |
悠里 | 073 | 一緒に死んで、生まれ変わろうよ、子供にさ。 | |
ナレ | 074 | Let's die together.Let's die to become children again. | |
悠里 | 075 | そして子供のまま、また死んで、死んだかずぶん、生まれ変わろうよ。 | |
ナレ | 076 | And let's die before we grow up, and become children again and again. | |
悠里 | 077 | 何度も繰り返して、未来へ帰る為に。 | |
ナレ | 078 | To return to the future, let's repeat it many times. | |
和幸 | 079 | いいよ…一緒に死ぬよ | SE:波の音大きく |
直実と由紀夫登場 | |||
直実 | 080 | やめろー!(遠くから) | |
和幸 | 081 | (ハっとして)直実…由紀夫… | |
由紀夫 | 082 | 和幸、悠里、危ないから戻ってきて!そこから海に落ちたら死んじゃうよ!!! | ざっぱーん |
和幸 | 083 | 悠里、僕は一体… | |
悠里 | 084 | 後少しって時に毎回毎回、ほんとしつこいんだから(笑) | |
直実 | 085 | 悠里、おまえの思い通りって言うのは和幸と二人で心中する事なのか?(怒) | |
悠里 | 086 | 来ないで!一歩でも近寄ったら和幸を連れてすぐにこの崖から海に飛び込むよ | |
由紀夫 | 087 | 悠里、やめてよ、和幸も、戻ってきて! | |
直実 | 088 | いい加減こんな茶番劇はやめろ悠里! | |
悠里 | 089 | 茶番?まさか、僕は本気だよ。 | BGMin |
悠里 | 090 | 直実、僕達は和幸から離れられない運命なんだ。 | |
直実 | 091 | どういう意味だ? | |
由紀夫 | 092 | 悠里、何言ってるの? | |
悠里 | 093 | わからなくていいよ、僕はね………遠い過去にいや、未来で和幸にふられて自殺したんだ。 | |
和幸 | 094 | 自殺って…悠里ほんと? | |
悠里 | 095 | そう、こんな崖っぷちから湖に飛び込んだんだ。君の中で永遠に生き続ける為にね。そしてその時から僕は、もう何度も和幸の魂を追い続けてる。和幸の魂って本当に綺麗で、輪廻を繰り返しても、決して汚れる事は無いんだよ。なぜだと思う? | |
和幸 | 096 | …なぜ? | |
悠里 | 097 | (小声で)僕が子供のまま君の魂を奪い去ってしまうからさ。 | ※ここから二人だけの会話 |
和幸 | 098 | ………それは死ぬって事? | |
悠里 | 099 | また繰り返す為だよ、子供の時間をね。…怖い? | |
和幸 | 100 | …今の僕は、もう………君と離れる方が怖い | |
悠里 | 101 | じゃあ手をしっかり握って…最期まで離さないでね | ここまで↑ |
和幸 | 102 | (名残惜しく)直実、由紀夫… | |
直実 | 103 | 和幸!何やってるんだ! | |
由紀夫 | 104 | 和幸、悠里! | |
悠里 | 105 | 直実、僕の勝ちだ、和幸を連れて行くよ!また未来で会おう!(勝ち誇って) | SE:強風、鈴の転がり落ちる音、和幸と悠里走る音、海に飛び込む音 |
直実 | 106 | かずゆきーーーーーーーーーーーーーーーーっ! | |
由紀夫 | 107 | 和幸!!!悠里!!!!! | SE:直実と由紀夫駆け寄る音 |
直実 | 108 | かずゆき!!!かずゆき!!かずゆきーーーーーーっ | |
由紀夫 | 109 | 待って直実、落ちちゃう、直実まで崖から落ちちゃうよ、直実っねぇっなおみいい(泣きながら必死にに) | |
直実 | 110 | かずゆき…まさかこんな…(放心状態で) | SE:直実座りこむ音 |
由紀夫 | 111 | 和幸…うっうう…悠里…どうしてこんな事…っう…うう…(嗚咽) | |
■scene07 深海 このシーンは現実と死後?の中間みたいな世界なので、声はエフェクトをかけます。 |
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悠里 | 112 | さぁ一緒に未来へ帰ろう | |
和幸 | 113 | そうか、君はユウ(確信を持って) | |
悠里 | 114 | そうだよ、やっと思い出したんだね | |
和幸 | 115 | よかった…僕はまた君に逢えたんだ… | |
悠里 | 116 | 何度でも僕が君を見つけ出すよ(微笑んで) | |
和幸 | 117 | 次に出逢う時も、またこうして君を抱きしめる事が出来る? | |
悠里 | 118 | …わからない、僕は何度も未来を繰り返して来たけど、未来は少しずつ変わってるんだ | |
■scene08 直実のモノローグ |
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直実M | 119 | 二人の死体はあがらなかった。あっけなくも唐突に別れが訪れ、それこそ簡単に何もかもがなくなってしまった。長門家と地元の人たちの協力で真冬の海を必死に捜索したにもかかわらず、和幸は悠里と一緒に、永遠に俺の手の届かないところへ行ってしまった。 | |
直実M | 120 | 「また未来で会おう」悠里が最後に残した言葉の意味は俺にはわからなかった。 …俺に未来なんてあるんだろうか。 和幸の居ないこの世界はもう俺にとって何の意味も無い。 |
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直実M | 121 | 長門家に戻った俺と由紀夫はしばらく誰とも口をきく事ができずにいた。ただ時だけが過ぎて往き、一年半が経った7月の終わり。由紀夫の苗字が榛名から長門に変わって一月(ひとつき)過ぎた日の事。 | |
■scene09 長門家、初夏 |
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由紀夫 | 122 | ハァ…ハァッ…直実!!(息を切らして) | |
直実 | 123 | お帰り、由紀夫(静かに落ち着いた声で) | SE:風鈴の音、扉が開き閉まる音、走ってくる音 |
由紀夫 | 124 | (息を切らしながら)ねぇ、直実、母さんから聞いたんだけど、赤紙が… | |
直実 | 125 | これの事? | SE:紙を差し出す音 |
由紀夫 | 126 | …ほんとに…… | |
直実 | 127 | 由紀夫が今朝学校へ行った後、届いたんだ | |
由紀夫 | 128 | だって…まだ17になったばかりなのに… | |
直実 | 129 | 本物の赤紙、臨時召集令状…。…先月義勇兵役法の公布と施行があったろ。 | |
由紀夫 | 130 | …嫌だ | |
直実 | 131 | ゆき… | |
由紀夫 | 132 | 嫌だ!直実、行かないで! | |
直実 | 133 | おめでとうって言ってくれよ | |
由紀夫 | 134 | いやだ…いやだ、いやだ、いやだ!!直実、おねがい行かないで、お願い、お願いだから(5秒ぐらい泣き声と嗚咽を続けてください) | ここから↓由紀夫泣いてます |
直実 | 135 | 由紀夫、顔をあげて………俺は行くよ | |
由紀夫 | 136 | どうして…どうして僕の大事な人は…和幸も…悠里も……直実まで…行かないで…僕を置いていかないで… | |
直実 | 137 | 由紀夫は長門の家を守って、俺と和幸が出来なかった分、立派に… | |
由紀夫 | 138 | いやだ、約束して、お願いだいから!絶対生きて帰って来るって約束して! | |
直実 | 139 | 由紀夫…(ため息) | SE:風鈴の音 |
由紀夫 | 140 | …お願い…お願い…やくそく…して…(泣きながら | |
直実 | 141 | 顔を…よく見せて、由紀夫の顔を… | |
由紀夫 | 142 | うっう…(嗚咽を5秒位下さい | |
直実 | 143 | こんな俺の事を愛してくれた人の顔を、ちゃんと目に焼きつけておきたいんだ。…ほら、涙をふいて。 | |
由紀夫 | 144 | なお…ぅう…み…っううっ(嗚咽 | |
直実 | 145 | (ため息)ねぇ由紀夫、何年前だったか忘れたけれど、和幸と由紀夫と3人で一緒に夏祭りに行った日の帰り道、由紀夫が迷子になった時の事…覚ええる? | |
由紀夫 | 146 | (泣きながらひっく)…僕だけはぐれて…神社で座り込んで泣いてた時の…事? | |
直実 | 147 | そう、俺が境内で由紀夫を見つけた時、今みたいにわんわん泣きながら、抱きついてきて… | |
由紀夫 | 148 | …覚えてるよ… | |
直実 | 149 | あの時俺は、由紀夫の事もちゃんと守らなきゃいけないって思ったんだ。俺は長門の家に仕える為に生まれてきたんだって、和幸と由紀夫の二人を支えて生きていかなきゃいけないんだって。 | |
由紀夫 | 150 | じゃあ、これからも、ずっと側に居て、僕の事守ってよ!お願いだからっ | |
直実 | 151 | でも結局俺は、和幸も、由紀夫も守る事が出来なかった。 | |
直実 | 152 | ごめんな…由紀夫… | SE:風鈴の音 |
由紀夫 | 153 | わかってる…直実が…悪いんじゃない…謝ることじゃないよ… | |
直実 | 154 | ありがとう…。 | |
直実 | 155 | 俺はこの世に生を受けて、霧島直実としてこの長門家で育って、長門和幸と言う只一人の人を愛した。愛していた人を守れなかった事が俺の人生の中で最大の汚点で、そして由紀夫、おまえをこの先守る事が出来ない事が唯一の心残りだよ。 | |
由紀夫 | 156 | 直実…。 | |
直実 | 157 | (静かに微笑を浮かべ)こんな未来なんて、望んでいなかったはずなのにな。 | 恋徒花in |
■第三章 逝く君 エンディング |
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ナレ | 158 | [未来帰還-Back to thefuture in 1999-]最終章 逝く君 | |
ナレ | 159 | 企画 Spiral Spirit(すぱいらるすぴりっと) | |
ナレ | 160 | 脚本・編集 武田恵瑠々(たけだえるる) | |
ナレ | 161 | キャラクターデザイン・イラスト w(ワラ) | |
ナレ | 162 | 御題協力 モニカ | |
ナレ | 163 | 主題歌作曲 芸竜作(げいりゅうさく) | |
ナレ | 164 | 主題歌歌唱 いーさん | |
ナレ | 165 | 編集アドバイザー SSK230 (えすえすけーにーさんまる) | |
ナレ | 166 | 制作・企画ヘルプ アルエー | |
和幸 | 167 | 長門和幸 來香滄 | |
直実 | 168 | 霧島直実 織山カヨ | |
由紀夫 | 169 | 榛名由紀夫 空木さくら | |
悠里 | 170 | 陸奥悠里 武田恵瑠々 | |
ナレ | 171 | ナレーション いーさん |