[未来帰還-Back to thefuture in 1999-]
第二章 氷面鏡 後編
CAST 番号 セリフ 効果・情景
■scene01
■井戸、直実が願掛けの水ごりを由紀夫に見られてしまった
由紀夫 001 な、なおみ、ごめんなさい… SE:北風、心理的効果音
直実 002 ここで何してるんだ  
由紀夫 003 目が…覚めちゃって…窓から…直実の姿が見えたから…つい  
直実 004 最初から、見てたんだな  
由紀夫 005 最初って言うか(SE:後ずさりする音)井戸の水を浴びてる姿が…見えて SE:後ずさりする音
直実 006 聞いたんだろ  
由紀夫 007 何も、聞いてない  
直実 008 俺が、願掛けしてるのも全部聞いたんだろ!  
由紀夫 009 な、なおみ  
直実 010 こういう事は、見てみなかったふりをするのが礼儀だろ?こんな時間に、こんな場所で井戸の水を浴びてたら願掛けの水ごりってすぐにわかるじゃないか。それなのに、ここまで来て隠れて様子をうかがって…  
由紀夫 011 ごめんなさい!どうしても何してるのか気になって…まさか、和幸が召集されないように、願掛けしてるなんて…知らなかったから…  
直実 012 やっぱり全部聞いてたんじゃないか(低く冷静に怖く) SE:ガンッと屋敷の壁を叩く音
由紀夫 013 だって!直実だって知ってるくせに!僕がどういう気持ちでずっと一緒にいるか。直実の事をどれだけ思ってるか。  
直実 014 ゆき…  
由紀夫 015 なのに、直実はいつも僕の気持ちをはぐらかして…どれだけ直実が和幸を想っても、振り向いてくれる事なんてないのに!  
直実 016 そこまで言うならわかってるだろ。俺もおまえの望みには応えられない。  
由紀夫 017 わかってるよ!全部、全部わかってる!  
直実 018 ……おまえを…  
由紀夫 019 え?  
直実 020 おまえを見てると、イライラするよ。  
由紀夫 021 …直実…  
直実 022 いつも人の視線の先回りばかりして、俺の心の中を勝手に覗きこんで  
由紀夫 023 直実、僕はそんなつもりじゃっ  
直実 024 愛されない愛されないって、おねだりばかりしてるからさ!うっとおしいよ。  
由紀夫 025 直実…(超ショック)  
直実 026 言えよ、おまえの望みはなに? SE:直実近寄る足音
由紀夫 027 ぼ、僕は(涙ぐんで) SE:直実が由紀夫の首元を掴む衣擦れの音
由紀夫 028 僕は、直実が…好きだから…  
直実 029 好きだから?自分だけを見てほしい?こうやって、ずっとおまえだけを見つめてれば満足?  
由紀夫 030 ごめんなさい、もう、やめて…直実…  
直実 031 それから、こうやって口づけして  
由紀夫 032 なお…ん…や(キスされて)やめて(涙声)! SE:由紀夫が直実を突き飛ばす音
直実 033 抱いてやれば満足するのか?  
由紀夫 034 う…ぅうう…(泣きながら)酷いよ、こんな口づけ…、本当に酷いよ… SE:由紀夫走り去る音
直実 035 俺の事なんて…嫌いになってくれればいいんだ… SE:北風
■scene02
■直実のモノローグ+台詞
直実M 036 由紀夫を愛せたら、そう思った時もあった。なぜこうしてこの時代に、この場所に、和幸の居る世界に生まれてきてしまったんだろう。こんなに想う事が辛いのならいっその事 消えて欲しいとすら願った。  
直実 037 和幸、「本当はずっとあんたを独り占めしたかった」なんて言ったらどんな顔をする?(自嘲気味に笑う) SE:北風
■scene03
■2F家族室(階段を登ってすぐのフロアです)
悠里、暖炉の前で本を読んでいる。
悠里 038 由紀夫…どうしたの SE:北風の音
SE:火の燃える音
SE:ページをめくる音
SE:遠くから階段をかけ登ってくる音が近づいてくる
由紀夫 039 悠里こそ、こんな時間に何してるの?  
悠里 040 寝付けなくてね、家族室に本がある事を思い出して、読みに来たんだ。  
由紀夫 041 ふーん…  
悠里 042 ふーんって…ねぇ本当にどうしたの?  
由紀夫 043 …なんでもない  
悠里 044 なんでもなくないよ、こんな時間にそんな泣き顔で…  
由紀夫 045 なんでもないってば!  
悠里 046 シー、みんな起きちゃうから、僕の部屋へおいで  
由紀夫 047 何も話す事なんかないよ。  
悠里 048 いいからいいから… SE:二人歩く音
SE:ドア開閉音
■scene04
■悠里の部屋
悠里 049 つったってないで、隣においで。ほら、座って。 SE:歩く音、悠里がベッドに腰掛ける音
由紀夫 050 ………うん SE:歩く音、由紀夫がベッドに腰掛ける音
悠里 051 こんな時間に、何があったの?  
由紀夫 052 なんでも…ない  
悠里 053 ねぇ由紀夫、隠さないでよ。何があったか僕に教えてくれない?  
由紀夫 054 直実の…  
悠里 055 直実の?  
由紀夫 056 うん、直実の大切な秘密を知ってしまって  
悠里 057 それで?  
由紀夫 058 僕、我慢が出来なくて…もうずっとはぐらかされるのが嫌で…直実に向かって、自分の気持ちを全部吐き出しちゃったんだ  
悠里 059  
由紀夫 060 馬鹿だよね…どうせ振り向いてもらえないってわかってるのに。  
悠里 061 そんなのわからないよ  
由紀夫 062 でも、直実に嫌な思いをさせてしまって…直実も怒って…  
悠里 063 怒って?…殴られたりでもしたの?  
由紀夫 064 ………殴られてはいないよ…  
悠里 065 頬赤いよ、叩かれた?服もあちこち雪で濡れてる…  
由紀夫 066 いいんだ、もう僕は…。(ベッドに転がる音)頭の中ではわかってるから、後は気持ちが追いつくまで時間がかかるだけで。  
悠里 067 でも、好きなんだろ?今でも。  
由紀夫 068 好きだよ…すごく、直実が好きなんだ…。(次第に泣き声に)直実が和幸の事を好きだって気づいた時、僕は直実が好きだって気づいたんだ。初恋と失恋が同時で……うっ(嗚咽)…うぅ…二人はいつも一緒で…っぅう…僕はずっと一人ぼっちだった。  
悠里 069 由紀夫は一人ぼっちなんかじゃないよ。僕も居るし、それに直実も和幸も、由紀夫の事を大切にしてくれてるだろう。  
由紀夫 070 うっ(泣き声交じりに)…うん…  
悠里 071 大丈夫、ね、大丈夫だよ SE:肩を叩く音
由紀夫 072 うぅ…うん  
■scene05
■朝の食堂
テーブルについているのは和幸、直実、悠里が食堂へやってくる
悠里 073 おはよう SE:鳥のさえずり、食器の音
和幸 074 おはよう SE:椅子を引く音、座る
直実 075 …おはよう  
悠里 076 和幸、熱はもう下がったの?  
和幸 077 ああ、だいぶいいよ、心配かけたね。  
悠里 078 それはよかった、頂きます SE:食器の音
和幸 079 悠里、由紀夫と今朝会った?  
悠里 080 今朝…と言えば今朝かな、会ったけど。  
和幸 081 部屋へ呼びに行ったんだけど、ご飯はいらないって  
悠里 082 ふ〜ん  
直実 083 ごちそうさま、今日は午前中、外で薪割ってるから、何かあったら声かけて SE:直実食器を片付ける音と足音
和幸 084 うん…わかった  
悠里 085 (ため息)はーい…  
和幸 086 悠里、今朝から直実も様子が少しおかしいんだ…夕べ何かあったの?  
悠里 087 あったみたいだけどね、僕、後で由紀夫のところへ行ってくるよ  
和幸 088 うん…どうしたんだろう…直実も、由紀夫も…  
■scene06
■由紀夫の部屋の前、家族室のフロア
悠里 089 由紀夫、入っていい? SE:ノックの音
悠里 090 由紀夫、大丈夫? SE:ノックの音
和幸 091 由紀夫、開けてよ SE:ガチャガチャとドアノブを回す音
悠里 092 中から鍵がかかってる  
和幸 093 一体、何があったの?  
悠里 094 夕べ…直実ともめたみたいで…  
和幸 095 どうして?何が原因で?  
悠里 096 (ため息)由紀夫は直実の事を好きだって、知ってるよね  
和幸 097 (不思議そうに)え…兄弟みたいに仲はいい方だと思ってたけど…  
悠里 098 そういう意味じゃなくて、由紀夫は直実に恋してるんだ、ずっと何年も直実に想いを寄せてたんだよ。  
和幸 099 ………そう…なんだ SE:悠里が歩き近づく音
悠里 100 全く、君って何もわかってないんだね。由紀夫は直実に振られて傷ついてるんだよ。  
和幸 101 そういうの…全然わからなくて……。僕には理解できない。  
悠里 102 ねぇ、君はさ、直実の事どう思ってるの?  
和幸 103 直実は、僕にとって大切な人だよ、信頼してるし、色々支えてもらって…  
悠里 104 ふ〜ん、じゃあ君は直実が好きなんだ  
和幸 105 好き?…好きって、愛してるって事?それは違う  
悠里 106 どうして違うの?  
和幸 107 僕は、誰も愛せない。誰かを受け入れて、誰かを求めることなんて、僕には無理だ。  
悠里 108 よくわかったよ。直実が兄さんぶって保護してるような、その程度の愛なら君は居心地いいんだ、でもそれ以上になると傷つきたくないから、誰とも深くかかわろうとはしないんだね。(嫌味)  
和幸 109 僕は自分の事があまり好きじゃないし、こんな風に自分を守って生きて行くので精一杯で…  
悠里 110 僕もあまり君の事が好きじゃないよ、でも君はみんなに守られて、必要とされてるのにそれを全て拒否してる。それはなぜ、何のため?  
和幸 111 悠里、君は僕の何を知ってるって言うんだ。  
悠里 112 鈍感で、誰よりも愛したい、愛されたいって思ってるくせに、臆病で、自分の殻に閉じこもった弱虫だって事は知ってる SE:和幸歩き近寄って、壁に悠里を押し付けるっぽい音
和幸 113 失礼だ、取り消せ!  
悠里 114 なんだ、そうやって感情をむき出しにする事も出来るんだ(嘲笑)  
和幸 115 確かに僕は怖がりだけど…弱虫だから誰も愛さないんじゃない、僕は誰も愛したくないだけだ!  
悠里 116 図星突かれて、何熱くなってんの?それとも愛してるって言ってあげればよかった?  
悠里 117 (思いっきりビンタされ)いっつつっ……君に叩かれるのはこれで二度目か。 SE:びんた音
SE:鈴が転がる音
和幸 118 …ご…ごめん…(はっとして)  
悠里 119 ついでにもう一つ教えてあげる。直実は君を好きなんだ、知ってた?  
和幸 120 ……え…  
悠里 121 ほら、知らなかっただろ?おあにくさま!君がいくら自分の殻に閉じこもって知らないふりをしてたって、まるで無駄なのさ!ずっと君の隣に居た直実は、君が好きで好きでしょうがなくて、君をずっと見つめてたのに、君は知らん振りして生きてきたんだよ。本当に君って残酷な奴だね。 SE:座り込む音
和幸 122 ……そ、…そんな…  
悠里 123 和幸、顔をあげて、僕を見て、ねぇ。  
和幸 124 僕は一体どうしたら…  
悠里 125 君はどうしたいの?これからどうやって生きていきたいの?  
和幸 126 わからない……僕は…もう、どうしていいか、何もかもわからなくなってしまった  
■scene07
■食堂
直実が居る
直実 127 今晩も、吹雪きそうだな…。 SE:北風の音
SE:窓を閉める音
SE:歩く音
直実 128 誰?(振り返り)なんだ…和幸か…もうすぐ夕食出来るから待ってて。  
悠里 129 あ〜おなかすいた〜 SE:和幸歩く音
直実 130 悠里も、すぐご飯出来るから。  
悠里 131 結局夕方まで薪割りしてたんだね。  
直実 132 しばらく2Fの暖炉にも火を入れようかと思ってね。まだまだ寒い日が続くだろうし。  
悠里 133 由紀夫は、だいぶ落ち着いたみたいだよ、さっき部屋に入れてくれて、もう少ししたら来るって  
直実 134 …そうか SE:直実歩く音
和幸 135 直実…  
直実 136 なに?和幸  
和幸 137 直実は、僕の事が…好き…なの?  
直実 138 …どういう事? SE:食器を置く音
和幸 139 だから、僕を…好きなの?  
直実 140 ……どうして、そんな事聞くんだ…  
悠里 141 (かぶせて)誤魔化さないで、答えてあげれば?  
和幸 142 本当の事を言って。直実は僕の事をどう思ってるの?  
直実 143 …………俺は…  
和幸 144 俺は? 少しの間
悠里 145 (ため息)ばっかみたい、なんでもかんでも隠しこむのが美徳だと思ってるの? SE:時計の音(ボーン×5)
直実 146 悠里…おまえ…(怒りをこらえて)  
悠里 147 僕は由紀夫の方が断然好感持てるよ。君達みたいに表面上だけ仲良しごっこしながら、内心どろどろの関係なんて、それこそ僕には理解できないね。  
直実 148 どうせおまえが由紀夫を焚きつけたんだろ!(静かな怒り)  
悠里 149 人のせいにしないでよ、僕は直実の何処が好きか由紀夫に聞いただけだもん  
直実 150 やっぱり…どうも最近由紀夫の態度がおかしいと思ったんだ!(少し声を荒上げて)  
和幸 151 直実!………僕はまだ答えを聞いてない。  
悠里 152 なんなら僕は席を外そうか? SE:椅子を引く音
和幸 153 待って悠里、君も…いてくれ  
悠里 154 人の恋路を邪魔する気は無いんだけど。  
和幸 155 直実、答えて、本当に君は僕の事が好きなの?  
直実 156 ……好きだよ。そう答えれば、何か変わるって言うのか?  
和幸 157 直実…  
直実 158 和幸の事は誰よりも俺が一番よく知ってる。こんな事言われたってどうしていいかわからないだろ?困惑するだけだろ?だからもう二度と言わない。これが最後だ。確かに、おまえの事を愛してるよ、誰よりもね。  
悠里 159 僕は邪魔みたいだから、部屋に戻ってるね  
和幸 160 いや、待って悠里、行かないで  
悠里 161 どうしたの?そんなに引き止めて珍しい、君の保護者は直実だろ?  
直実 162 居てくれたってかまわないさ、今もこれからも、俺は何も変わらないんだ。どうせもうすぐ食事の時間だし。  
悠里 163 余裕だね、直実  
直実 164 何が。  
悠里 165 自分が一番わかってるくせに。和幸は今どんな気持ちなのか。  
和幸 166 悠里、いや、いいんだ、僕は大丈夫だ…、ただ、驚いてるだけで…  
悠里 167 和幸…僕は君を助けてあげられないよ、そんな困った目で僕を見たって、僕は直実みたいに何もしてあげられない  
直実 168 悠里!!!!(キレました)  
悠里 169 なんだよ。  
直実 170 俺達3人は今までうまくやってきた、お互いに不満を抱えながらも、それでもお互いを必要としていい関係を保ってたんだ。  
悠里 171 表面上はね、でしょ?  
直実 172 おまえのせいで…おまえのせいで何もかもめちゃくちゃだ、ここから出てけよ!」 (悲痛な怒鳴りです) 台詞の終わりと同時に「恋徒花in」
■第二章 氷面鏡 エンディング
ナレ 173 [未来帰還-Back to thefuture in 1999-]第二章 氷面鏡  
ナレ 174 企画 Spiral Spirit(すぱいらるすぴりっと)  
ナレ 175 脚本・編集 武田恵瑠々(たけだえるる)  
ナレ 176 キャラクターデザイン・イラスト w(ワラ)  
ナレ 177 御題協力 モニカ  
ナレ 178 主題歌作曲 芸竜作(げいりゅうさく)  
ナレ 179 主題歌歌唱 いーさん  
ナレ 180 編集アドバイザー SSK230 (えすえすけーにーさんまる)  
ナレ 181 制作・企画ヘルプ アルエー  
和幸 182 長門和幸 來香滄  
直実 183 霧島直実 織山カヨ  
由紀夫 184 榛名由紀夫 空木さくら  
悠里 185 陸奥悠里 武田恵瑠々  
ナレ 186 ナレーション いーさん