[未来帰還-Back to thefuture in 1999-]
第一章 誰そ彼 後編
CAST 番号 セリフ 効果・情景
■scene01
■長門の屋敷、食堂
食事を終えた3人の元へ悠里が突然現れる。
悠里 001 なんだ、和幸って、長門のおじさんの息子だったんだ。  
和幸 002 どうしてここに…。  
直実 003 和幸、知り合いなのか?  
悠里 004 さっき神社で会ったんだよ…逃げられちゃったけどね。  
和幸 005 なぜここが?  
悠里 006 だから言ったろ?長門のおじさんからここに来るように言われたんだよ。  
直実 007 誰なんだ君は。  
悠里 008 何その偉そうな口ぶり、あ、わかった君が使用人の霧島直実って人?  
由紀夫 009 そうだよ、で僕が由紀夫、榛名由紀夫。  
悠里 010 僕はたけ…陸奥悠里。長門家とは親戚関係さ。君達と同じように世間様に偽って嘘の療養目的でここに来たってわけ。  
直実 011 君が長門の親戚と証明するものは?  
悠里 012 もちろんあるよ。(手紙を取り出し)はいこれ。おじさんから貰った手紙 悠里、手紙を直実に渡す
SE:カサカサと紙の音
直実 013 俺が預かっておく。 SE:ビリビリと封を破く音
由紀夫 014 なんて書いてあるの?見せて SE:紙の音
直実 015 ……確かに…長門さんの字だ  
由紀夫 016 ほんとだ。  
和幸 017 僕の…親戚…?  
悠里 018 そうだよ、だからそんなに怖がらなくたっていいだろ。 SE:悠里が近寄る足音
直実 019 やめろ、それ以上和幸に近づくな。  
悠里 020 なんだよ、握手しようと思って少し近寄っただけでなのに。まるでお姫様でも守ってるみたいだね。  
直実 021 和幸は今日少し疲れてるんだ、勘弁してやってくれ。  
和幸 022 …ごめん。  
由紀夫 023 確かに直実は和幸のお守り役だけどね…。  
直実 024 由紀夫!  
由紀夫 025 冗談だよ、そんなに怒らないで。悠里、僕は苗字は榛名だけど、長門のお義父さんの子供なんだ。  
悠里 026 聞いてるよ、妾の子なんだろ?  
由紀夫 027 はっきり言うね  
悠里 028 別に…ここには僕達4人しか居ないんだし隠す必要なんかないだろ。  
和幸 029 部屋に戻ってる。 SE:和幸が去る足音、ドアを閉める音
悠里 030 あーあ、嫌われちゃった。  
直実 031 あんまりあいつを刺激しないでくれ、やっとここでの生活に慣れてきたところなんだ。  
由紀夫 032 元々和幸は神経質だから気にしなくていいよ、悠里。  
悠里 033 お気遣いありがとう、由紀夫。  
直実 034 (大きくため息)とりあえず由紀夫、風呂の薪を入れてきて、悠里、部屋に案内するよ。  
由紀夫 035 うん、じゃあ悠里、また後で。  
悠里 036 は〜い、じゃあ部屋に案内して、直実。 SE:由紀夫の去る足音
直実 037 こっちだよ(不機嫌を隠し切れない声で)  
■scene02
■悠里の部屋へ
直実が悠里を連れて2Fへ、悠里の部屋へ案内する
直実 038 2Fは家族室の他に部屋が丁度3つあって、西向きの部屋が1つ空き部屋になってるからそこを使うといい。 SE:階段を登る音
悠里 039 丁度3つって、4人なのにどうして3部屋で足りてるの?  
直実 040 俺と和幸は同室なんだ。  
悠里 041 へ〜、仲がいいんだね。  
直実 042 まぁね、生まれた時からの付き合いだし(SE:ドアを開ける音)ほら、この部屋が君の部屋。 SE:ドアを開ける音
悠里 043 わー!ベッドも机もある!豪華だな〜。  
直実 044 元々は外国人が住んでいた屋敷だから、家具もそのまま残して帰国したのを長門家で買い取ったのさ。  
悠里 045 ふ〜ん、こんないいとこで暮せるなんて夢見たいだね。  
直実 046 表向きは療養所だけど、僕らにとっては守られた世界さ。  
悠里 047 牢屋みたいに自由には出られないんだろうけどね。  
直実 048 牢屋?面白いな。君には色々考えさせられる事が多くなりそうだよ、悠里。  
悠里 049 光栄だよ、直実。  
■scene03
■直実と和幸の部屋
和幸、ベッドに横になっている。直実が部屋へ入ってくる。
直実 050 和幸、寝てるのか? SE:ドアを開ける音
和幸 051 ううん、起きてる。  
直実 052 …風呂がそろそろ沸く頃だけど入れそう?  
和幸 053 ん…うん、大丈夫。  
直実 054 (ため息)悠里の事、あんまり気にするなよ。  
和幸 055 気にして…ないよ。  
直実 056 気にしてるだろ?確かに問題のありそうな子だけど…。  
和幸 057 鈴の音が…。  
直実 058 鈴?  
和幸 059 うん、悠里が持ってる鈴の音が気になって。  
直実 060 鈴なんて…持ってたっけ…。  
和幸 061 神社で会った時、持ってたんだ、鈴の音がして振り返ったら悠里が居た。  
直実 062 和幸、和幸は物事を悪い方へ考えすぎたり、へんな方向に捻じ曲げて考える癖がある。  
和幸 063 …わかってる。  
直実 064 悠里は変わってるけど普通の子だよ、僕達だけで暮すんだからうまくやっていけるように努力できる?  
和幸 065 ああ……大丈夫。  
直実 066 和幸、こっち向いて。  
和幸 067 やだ…。  
直実 068 俺の方を見て、ちゃんと話をしよう。  
和幸 069 直実のように、僕は大人になれない。  
直実 070 大人になんかなれなくていいよ。和幸は、大人のふりだけしてくれればいい。  
■scene03
■直実のモノローグ
直実M 071 それが勝手なエゴだと理解していて、それでも和幸だけは綺麗な場所にいて俺の哀しみを知らないままでいて欲しかった。そうやって永遠に和幸とずっと一緒にいたかった。なのに、悠里が来てから俺達の関係は、少しずつおかしな方へ捻じ曲げられてしまった。 BGMin
■scene04
■食堂、朝早く直実が食事の支度をしているところへ悠里が登場。
悠里 072 おはよう、直実。 SE:台所の音
SE:ドアが開く音
直実 073 おはよう、夕べはよく眠れた?  
悠里 074 ああ、おかげさまで。ご飯の支度手伝おうか?  
直実 075 いいよ、これは俺の仕事だ。  
悠里 076 じゃあ誰かの部屋に遊びに行こうかな。  
直実 077 まだ6時前だからみんな寝てる。  
悠里 078 寝てたっていいよ、いたずらしてこようっと。  
直実 079 悠里!  
悠里 080 だってさ、せっかく子供だけで暮してるんだから好き勝手やったっていいだろ?  
直実 081 (ため息)好きにするといいさ。  
悠里 082 じゃあ勝手にしよっと。 SE:悠里が立ち去る音
直実 083 まったく…。  
■scene05
■由紀夫の部屋、由紀夫が寝ているところへ悠里が忍び込む
由紀夫 084 …んっ……うぅ……んっ(息苦しそうに) SE:ドアが開く音
SE:歩く音
悠里 085 あは、あはは♪  
由紀夫 086 んーー!うあっっはぁはぁ(深く息を吸って)  
悠里 087 由紀夫、おはよ♪  
由紀夫 088 なんだ、悠里か、もーーーーう!鼻つまむなんて!やめろよ…。  
悠里 089 だって、面白いんだもん。  
由紀夫 090 今何時?  
悠里 091 6時になったかな〜。  
由紀夫 092 悠里は早起きだあぁ…。  
悠里 093 ねぇ、由紀夫、遊ぼうよ。  
由紀夫 094 朝っぱらから何言ってんの。  
悠里 095 和幸に、悪戯しにいこうよ!  
由紀夫 096 やめときなよ、直実に怒られるよ?  
悠里 097 平気平気!ほら、行こうっ。 SE:悠里歩き出す音、ドア開閉音
由紀夫 098 ちょ、ちょっと待ってよ、悠里〜!  
■scene06
■和幸と直実の部屋、和幸が寝ている、悠里と由紀夫が忍び込む
由紀夫 099 (小声)やっぱりやめようよー。 SE:ドアが開く音
SE:歩く音
悠里 100 (小声)大丈夫大丈夫。  
悠里 101 (小声)ふふっじゃあ、和幸の鼻、つまんじゃうよ。  
由紀夫 102 (小声)知らないよぉもうー。  
和幸 103 ん……んっ…うう…(息苦しそうに)  
悠里 104 あは、あはは!  
由紀夫 105 ぷっ…あはは。  
和幸 106 んっんーー!んー!っはぁはぁ(深く息を吸って)  
悠里 107 あはは、あははは、おはよー和幸っ  
由紀夫 108 あはは。あははは。  
和幸 109 はぁはぁ(荒い息遣いで)だ、誰だ、こんな悪戯したの。  
悠里 110 はーい、僕で〜す、悠里で〜す。  
由紀夫 111 僕は、一応止めたんだけどね…。  
悠里 112 由紀夫だって一緒に笑ってたくせに(笑)  
由紀夫 113 だって面白かったんだもん。  
和幸 114 出てってくれ、起床時間は7時って決まりだろ。  
悠里 115 和幸も起きて遊ぼうよ。  
和幸 116 僕はまだ眠いから寝るよ。  
由紀夫 117 悠里、行こう。  
悠里 118 ちぇーっじゃあ外で遊ぼうか?  
由紀夫 119 雪が降って無かったらね。 SE:2人立ち去る音
和幸 120 (大きくため息)目、覚めちゃったな…。 SE:ドアが閉まる音
■scene07
■朝の食堂
4人が朝食をとっている。
由紀夫 121 ごちそうさま。 SE:鳥のさずり
食器の音
直実 122 はい。  
和幸 123 ごちそうさま。  
悠里 124 あれ、和幸全然食べてないんだね。  
和幸 125 悠里、よかったらあげようか?  
悠里 126 え?いいの?やった〜、ありがと〜!  
直実 127 和幸…。  
和幸 128 いいんだよ、あんまり食欲がないんだ。  
悠里 129 由紀夫、カンパン半分こしようよ、はいどーぞ。  
由紀夫 130 うん、ありがとう、じゃあこっちもらうね。  
直実 131 和幸、大丈夫か?  
由紀夫 132 顔色、悪いよ、本当に食べなくていいの?  
和幸 133 お昼はちゃんと食べるよ、少し眩暈がして横になりたい。  
悠里 134 夕べちゃんと寝たの〜?  
直実 135 和幸は疲れてたみたいで、夕べはいつもより早く寝てたけどね。  
悠里 136 ふーん………。ね、由紀夫、外行って雪合戦でもやろうよ。  
由紀夫 137 雪合戦?でも午前中は…直実に勉強を見てもらう約束をしてて…。  
悠里 138 え〜〜!4人だけで暮してるのに、勉強なんかしてるの?  
直実 139 俺達だけで暮してるんだから、自主的な規律が必要なんだよ。  
悠里 140 へ〜、つまんないの。  
由紀夫 141 悠里も一緒に勉強する?  
悠里 142 いやだよ、ここまできて勉強なんかしたくないし…じゃあ和幸の看病でもしようかな。  
直実 143 それは必要ない。  
悠里 144 どうして?  
直実 145 悠里が看病するよりも、一人でゆっくり眠った方が早く回復するからさ。  
和幸 146 僕は、一人で大丈夫だから…。  
悠里 147 遠慮しなくていいよ、僕が側にいて見ていてあげる。  
和幸 148 結構。  
悠里 149 せっかく人が親切に言ってやってるのに!  
由紀夫 150 ぷ…(くすくす笑い)悠里、嫌われちゃったね。  
悠里 151 何だよー、由紀夫、笑うなよ。  
由紀夫 152 ごめんごめん、君を見てるとおかしくて。  
和幸 153 部屋に、戻ってる。  
直実 154 ついていこうか?  
悠里 155 僕がついてく!  
和幸 156 二人とも来なくていい、二階へぐらい一人で行ける。  
悠里 157 ふんっ、変な奴。  
由紀夫 158 悠里って、ほんと面白い(笑い)  
■scene08
■直実のモノローグ
直実M 159 踏み越えられない境界を、悠里はすぐに飛び越そうとする。和幸は悠里が来てから振り回されてばかりだった。  
■scene09
■食堂、由紀夫と直実が勉強している。
直実 160 これで終わりにしたら? SE:ページをめくる音
由紀夫 161 そうだね、今日は結構進んだな〜、後少しでこの教科書も終わりか〜。  
直実 162 由紀夫は努力家だからな。  
由紀夫 163 和幸みたいに天才肌じゃないけどね、僕はコツコツやるぐらいしか能が無いから…。  
直実 164 地道に続ける事が一番大変で難しいんだよ。  
由紀夫 165 …ありがとう、直実にそうやって褒められるのが一番嬉しい。  
直実 166 いいや、本当の事さ…。  
由紀夫 167 そういえば悠里は静かだね?  
直実 168 さっき自分の部屋へ戻っていったけど、何してるのかな。  
由紀夫 169 案外和幸にちょっかい出しに行ってたりして(笑)  
直実 170 その可能性はありえるな。 SE:椅子を引く音
由紀夫 171 待って、行かないでよ直実、和幸はもう子供じゃないんだよ。  
直実 172 わかってるさ。  
由紀夫 173 そうやっていつまでも甘やかしてたら、和幸は何も変わらないよ?  
直実 174 変わらなくていいんだ。 「恋徒花」inラストまで。
由紀夫 175 え?  
直実 176 いや、なんでもない。  
■scene10
■和幸と直実の部屋
和幸が寝ている
悠里 177 (ため息)和幸 SE:時計の振り子音
ドアが開く音
SE:歩く音
和幸 178 んー、すー(寝息系を) SE:ベッドに近寄り、腰掛ける音
悠里 179 (クスリと笑い)よく寝てる…。  
悠里 180 和幸…、会いたかったよ。  
■第一章 誰そ彼 エンディング
ナレ 181 [未来帰還-Back to thefuture in 1999-]第一章 誰そ彼  
ナレ 182 企画 Spiral Spirit(すぱいらるすぴりっと)  
ナレ 183 脚本・編集 武田恵瑠々(たけだえるる)  
ナレ 184 キャラクターデザイン・イラスト w(ワラ)  
ナレ 185 御題協力 モニカ  
ナレ 186 主題歌作曲 芸竜作(げいりゅうさく)  
ナレ 187 主題歌歌唱 いーさん  
ナレ 188 編集アドバイザー SSK230 (えすえすけーにーさんまる)  
ナレ 189 制作・企画ヘルプ アルエー  
和幸 190 長門和幸 來香滄  
直実 191 霧島直実 織山カヨ  
由紀夫 192 榛名由紀夫 空木さくら  
悠里 193 陸奥悠里 エルタロス@MikeForm(えるたろすあっとまいくふぉーむ)  
ナレ 194 ナレーション いーさん