[ 記憶再生-Summer vacation of 1999- ] | ||||
最終話 再生 | ||||
2009/1/30版 | ||||
cast | 番号 | 台詞・情景 | 効果 | BGM |
■scene01 ■食堂 則夫が本を読んでいる。 |
||||
和彦 | 001 | 則夫、読書中ごめん、直人を見かけなかった? | 雨音 ページをめくる音 和彦の足音 ドアが開く音 |
|
則夫 | 002 | 知らない、夕食の後から見てないよ。シャワーじゃないの? | ||
和彦 | 003 | うん、シャワー室には居なかった。 | ||
則夫 | 004 | 僕は食事が終わった後からずっとここで本を読んでるけど、直人は来なかったよ。 | ||
和彦 | 005 | そっか。 | ||
則夫 | 006 | どうしたの?急ぎの用事? | ||
和彦 | 007 | いや…急ぎじゃないけど…ただ、手紙を返してもらおうと思って。 | ||
則夫 | 008 | 何の手紙? | ||
和彦 | 009 | …悠が居なくなった日の夜、僕にくれた…最後の手紙だよ。 | ||
和彦 | 010 | 直人が見せてくれって言うんで渡したんだけど、 やっぱり他人に貸すものじゃなかったって思い直して…。 |
||
則夫 | 011 | 和彦、その手紙は…最後の手紙じゃないよ。 | ||
和彦 | 012 | …え? | ||
則夫 | 013 | あの晩、悠が手紙を書いていた時に、僕、一緒に居たんだ。 | ||
和彦 | 014 | それが、僕宛の手紙じゃ… | ||
則夫 | 015 | 悠は和彦宛に書いた後、もう一通手紙を書いてた。 | ||
和彦 | 016 | 誰に? | ||
則夫 | 017 | それも君にだよ。 | ||
和彦 | 018 | どういう事? | ||
則夫 | 019 | もう一通も君宛だけど…君に読んで貰わなくてもいいんだって言ってて、 僕はその内容がずっと気になってたんだ。 |
||
和彦 | 020 | その手紙は何処にあるの? | ||
則夫 | 021 | 薫が持ってる | ||
和彦 | 022 | どうして? | ||
則夫 | 023 | 昨日図書準備室で偶然見つけて… 僕は薫にもその手紙を読んでもらいたいと思って…だから、薫に渡したんだ。 |
||
和彦 | 024 | …僕へ宛てた手紙なら、僕も読みたい。 | ||
則夫 | 025 | 和彦… | ||
和彦 | 026 | 悠の最後の言葉を、僕も知りたい。 | 記憶再生のテーマin | |
■scene02 ■オープニング |
||||
N | 027 | 閉ざされた世界を、壊したかったのか、壊されたかったのか | ||
N | 028 | ただ静かに微笑み、まっすぐに彼を見つめ続けていた、君の言葉を思い出す | ||
N | 029 | 僕は、僕の卵を壊して羽ばたく、それから飛ぶ、彼に向かって | ||
N | 030 | ボイスドラマ 記憶再生 Summer vacation of 1999 | 記憶再生のテーマF.O. | |
薫TC | 031 | 最終話 再生 | ||
■scene03 ■学院の玄関ホール直人と薫が居る |
||||
直人 | 032 | 悠が去年書いた小論文の事を思い出したよ。テーマは「再生」だったかな。 | SE:雨の音 | |
直人 | 033 | 「生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。…鳥は神に向かって飛ぶ。」 | ||
薫 | 034 | ヘッセのデミアン? | ||
直人 | 035 | そう言ってたよ。 | ||
薫 | 036 | …それが一体、悠と僕にどんな関係あるって言うの? | ||
直人 | 037 | 続きがあるんだ…「僕は、僕の卵を壊して羽ばたく、それから飛ぶ、彼に向かって」 | ||
悠 | 038 | 「僕は、僕の卵を壊して羽ばたく、それから飛ぶ、彼に向かって」 | ||
直人 | 039 | (直人の怖い部分です。静かな怖さを御願いします。) 5月の…肌寒い夜だったよ。悠が湖に飛び込んだのは…・。 (溜息を一つ下さい)俺はね、薫。 悠が死んだと聞いて、哀れむより先に喜んだんだ。 |
||
直人 | 040 | 生きていた頃の悠は、押しつけがましいほどの愛情で和彦の自由を奪っていた。 身勝手に愛して、いつも和彦の視線の先回りをして… なんとか見つめて貰おうとうろつきまわっていたからね。 |
||
薫 | 041 | 君は…和彦を独占したかったんだね。 | ||
直人 | 042 | (静かな怒り)ああ、そうさ。 | ||
直人 | 043 | だいたい…薫、おまえだって、もう気づいてるんだろ? | ||
薫 | 044 | 何に…? | ||
直人 | 045 | 俺達だけじゃなく、おまえ自身も悠にとらわれてるって事にさ。 | ||
薫 | 046 | …なに…言ってるの? | 直人が薫に近づく足音 | |
直人 | 047 | (薫に近づき) 薫、いやおまえは悠さ。 |
||
直人 | 048 | 悠として死に、薫になって現れたおまえは、和彦の心を捕まえる事に成功した。 おまえの恋の企みは見事に叶ったんだよ。 |
||
薫 | 049 | だから…僕は悠じゃない、薫だよ | ||
悠 | 050 | そうさ…僕は悠だよ。(薫の脳内) | ||
薫 | 051 | 違う、僕は… | ||
直人 | 052 | いい加減終わりにしないか、悠。 | ||
直人 | 053 | 和彦だけじゃなく、薫の事だって! もういい加減解放してやれよ。(静かな怒りをキープしています) |
雨の音だんだん小さく 近づいてくる足音 |
|
和彦 | 054 | 直人! (10mくらい離れた角から声をかける感じで) |
||
和彦 | 055 | 薫も…ここで何してるの? | ||
薫 | 056 | かずひこ…(半泣き) | ||
和彦 | 057 | 薫…!どうしたの?(驚いて近寄る) | 足音 | |
直人 | 058 | (編集で気持ち間をおきます) フフッ…(鼻で笑った後)あーあ、こんな時におまえが現れるとはね。(いっそすがすがしく) |
||
和彦 | 059 | …え?(驚いたまま) | ||
直人 | 060 | 俺にはツキもない。 | ||
和彦 | 061 | なお…と? | ||
直人 | 062 | 少し頭を冷やしてくる。理由は…薫に聞けよ、いや、悠に。(立ち去る) | 立ち去る足音 | |
和彦 | 063 | 薫、一体何があったの? | ||
薫 | 064 | 僕は…和彦、きっと僕は………悠なんだ | ||
和彦 | 065 | どういう意味?(心配そうに) | 雨の音F.O. | |
薫 | 066 | 僕はここに来てから、不思議な夢を何度か見た。 | ||
和彦 | 067 | どんな内容? | ||
薫 | 068 | 君と僕の、僕の知らない思い出。多分これは…悠の記憶なんだと思う。 | ||
和彦 | 069 | ……っえ… (半信半疑、驚いて見ています) |
||
薫 | 070 | 最初は僕も、ただの偶然や思いこみだと思ってた。 でも僕は…!君と居ると、ふっと何かを思い出したり、ひどく悲しい感情で一杯になる事があった。 |
||
薫 | 071 | いや、本当は周りからの影響で、自分は悠だと思いこんでしまっただけなのかもしれない。 僕は僕で、悠と僕は別人だし…それに… |
||
和彦 | 072 | それに? | ||
薫 | 073 | 君は、悠が憎いんだろ? | ||
和彦 | 074 | (溜息をつき)ああ、憎いよ。 …悠が居なくなったあの日から、僕はずっと悠の事ばかり考えてきた。 |
||
和彦 | 075 | 悠は何故僕を好きになったんだろう… どうして僕を選んで、どうして湖に身を投げたんだろうって…。 何度も、何日も、ずっと考えさせられてきた。 |
||
和彦 | 076 | 僕は苦しかった……。憎くて…苦しくて……気になって…せつなくて | ||
薫 | 077 | かずひこ… | ||
和彦 | 078 | だから嫌だったんだ、誰かを好きになるのは… (せつなそうに) |
||
薫 | 079 | ねぇ和彦…君が好きなのは、悠…なの? | ||
和彦 | 080 | ……僕が好きなのは君だよ、薫。 僕は君が好きになったんだ。 (泣いてはいませんが心の中で泣いてるニュアンスで) |
||
薫 | 081 | …和彦… | ||
和彦 | 082 | 僕は誰かを好きになる事なんてなかった。 誰も愛した事が無かったから、僕はその出来事に幼くて、愛される事におびえていた。 |
||
和彦 | 083 | 僕は悠を拒み、その為に悠は死んだ。 だけど僕は君を見つめて悠の気持ちを知り、悠を通して君に近づいていった。 そして君を好きになったんだ。 |
||
薫 | 084 | …うん……うん。(最初は呟くように、二回目は自分自身に言い聞かせるように) | 和彦が近寄る足音 | |
和彦 | 085 | …ずっと君に、触れたいと思ってた… (薫を抱きしめてせつなく呟いています) |
和彦が薫を抱きしめる衣擦れ音 | |
薫 | 086 | 僕も、君に触れて、君の声をもっと聞きたいと思ってた… (和彦を抱きしめ、呟いています) |
||
薫 | 087 | もっと…触れてもいい? | ||
和彦 | 088 | いいよ…キスして。 | ||
和彦 | 089 | …ん……んん…(キス、んん…の後吐息を一つ下さい) | 衣擦れの音 | |
薫 | 090 | ふふ、やわらかい | ||
和彦 | 091 | え?(ささやくように御願いします) | ||
薫 | 092 | 和彦の唇。 | ||
和彦 | 093 | …馬鹿。(赤面) | ||
薫 | 094 | ふふふ…和彦…。 | ||
和彦 | 095 | なに?(優しく甘く御願いします) | ||
薫 | 096 | 僕は…悠に教えてあげたい。 | 衣擦れの音 立ち上がり、歩く音 |
|
和彦 | 097 | 何を? | ||
薫 | 098 | 君が悠を愛していた事、そして僕を受け入れてくれた事。 | ||
和彦 | 099 | ああ。(うなづき) | ||
薫 | 100 | 雨、やんだね。(薫、窓を開ける) | 窓を開ける音 | |
和彦 | 101 | ほんとだ…月が見える。(和彦も窓辺に近寄る) | 和彦も窓に近寄る足音 | |
薫 | 102 | うん | ||
和彦 | 103 | 薫、ありがとう。 | ||
薫 | 104 | 僕は何もしてないよ。 | ||
和彦 | 105 | いや、君のおかげで僕は、自分の気持ちと向き合う事が出来たんだ。 | ||
薫 | 106 | …それは僕じゃなくて、悠のおかげだよ。 | ||
■scene04 ■則夫のモノローグ |
||||
則夫M | 107 | 僕達はちゃんとわかっていた。 | ||
則夫M | 108 | 大人でもなく、子供でもない、この少年としての時が決して永遠ではないという事を。 | ||
則夫M | 109 | でも悠は和彦の中で生きていく永遠を選んだ。 | ||
則夫M | 110 | そして悠が本当に望んだ事が何か、僕も薫も気づいていた。 | ||
■scene05 和彦と直人の部屋 直人、一人で窓の外を見ている |
||||
直人 | 111 | どうぞ | 風の音、虫の声 ノックの音 |
|
和彦 | 112 | ただいま | ドアの開く音 | |
直人 | 113 | …(溜息をつき)お帰り。 | ||
和彦 | 114 | 入っていい? | ||
直人 | 115 | ふふ…(苦笑) 自分の部屋なんだから遠慮なんかいらないさ |
||
和彦 | 116 | …うん(躊躇いがちに) | ドアを閉める音、歩く音 | |
和彦 | 117 | (少し間を取ります) 僕、先にシャワー入ってくる (立ち上がり、引き出しを開けて鍵を取り出す、鈴の音が鳴る) |
立ち上がる音 引き出しを開けて鍵を取り出す 鈴の音が鳴る |
|
直人 | 118 | 和彦。 | ||
和彦 | 119 | ん? | ||
直人 | 120 | さっきはいいタイミングで現れてくれて助かった。俺も正気を失ってた。 | ||
和彦 | 121 | いや…うん…(なんと言っていいかわからず、支度をしながら) | ||
直人 | 122 | 俺は、おまえが好きなんだ。(さらっと) | ||
和彦 | 123 | …え | ||
直人 | 124 | 俺はずっとお前だけを見てきた。 こうして隣に居て、話を聞いたり、傷ついたり悩んだりする姿を見てきて、ずっとおまえを支えていきたいと思ってた。 |
||
直人 | 125 | おまえは人と深く関わるのを嫌がっていたから、俺は一定の距離を保ちながら、 いつでもお前がベストでいられるよう努力していた。 |
||
直人 | 126 | 誰よりもそばにいたから…すぐに気づいたんだ。 | ||
和彦 | 127 | …何に…? | ||
直人 | 128 | 悠に心を奪われてるって事にさ。 | ||
直人 | 129 | (和彦に近寄り) おまえを変えたのは薫一人じゃない、きっと悠なんだろうって俺はわかってた。 悠は…ずっと生きている。薫の中だけじゃなく、おまえの中でも。 |
和彦に近寄る足音 | |
和彦 | 130 | ああ、確かに、悠の事を忘れた事は無かった…。 | ||
直人 | 131 | それでも俺は、おまえが好きなんだ、和彦。 | ||
和彦 | 132 | 直人… | ||
直人 | 133 | 俺はおまえの隣に居られるだけでいい。 | ||
直人 | 134 | ただそれだけでいい、おまえが誰を好きでも、俺はおまえがいい。 | ||
和彦 | 135 | 僕は…僕も君が好きだし感謝してるし、でも… | ||
直人 | 136 | いいんだ、わかってる(前の台詞を遮り)、いや、困らすつもりじゃなくて… | ||
和彦 | 137 | …うん | ||
直人 | 138 | たとえおまえが誰を好きになっても……俺は変わらずおまえが好きなんだ。 それだけはわかって欲しい。 |
||
和彦 | 139 | …うん… …ありがとう…直人…僕は…。(後のノックが被ります) |
||
則夫 | 140 | (ドアの外からです) 和彦、直人、居る? |
ノックの音 | |
直人 | 141 | …(溜息をつき)ああ、どうぞ | ||
則夫 | 142 | (ドアを開け) ねぇ、薫が何処へ行ったか知らない? |
ドアを開ける音 | |
和彦 | 143 | 部屋に戻ってるはずだけど… | ||
則夫 | 144 | 部屋には居なかった。 …実はさっき、シャワー室ですれ違った時にランタンの置いてある場所を聞かれて…。 |
||
直人 | 145 | ランタン? | ||
則夫 | 146 | 僕、嫌な予感がするんだ、薫はもしかして悠みたいに居なくなってしまうんじゃないかって。 | ||
和彦 | 147 | そんなはずはない、だって僕は薫の事を…(鈴が転がり落ちる)…あ…鈴が… | 鈴が転がる音鈍く。 | |
則夫 | 148 | 壊れ…ちゃった?留め金、外れてる… | ||
直人 | 149 | (溜息)薫を捜しに行こう | ||
則夫 | 150 | 何処に? | ||
直人 | 151 | 決まってるだろ?薫が悠だとすれば、行く場所はただ一つ。 | ||
和彦 | 152 | (はっとして)悠が死んだ崖…!……っ(駆け出す息づかいを下さい) | 和彦駆け出す音 | |
則夫 | 153 | 待って、和彦! | ||
直人 | 154 | 則夫、おまえは崖の下の湖に行ってボートを出せるようにしてろ | ||
則夫 | 155 | どうして? | ||
直人 | 156 | 悠の時のように薫が湖に飛び込んだら、おまえが助けるんだ。 | ||
則夫 | 157 | そんな…! | ||
直人 | 158 | 俺は和彦を追いかけて一緒に崖へ行く、場合によっては俺も飛び込んで薫を助ける。 | ||
則夫 | 159 | 直人…、御願い、無茶しないで。 | ||
直人 | 160 | わかってる。もうこれ以上、悠の思い通りにはさせない。 | ||
■scene06 悠が死んだ崖 薫、一人で崖に立っている |
||||
薫 | 161 | …悠、きみの書いた最期の手紙を読んだよ。 だから僕はここに来たんだ。 きみが何を思って、何故この崖から湖に飛び込んだのか、僕にはよくわかる。 良かったね、悠。 和彦は君を愛してる。君が望んだ通り、会う事の出来ない君に恋焦れてる。 |
木々をそよぐ風の音 虫の声、足音 |
|
薫 | 162 | ここまではきっと君のシナリオ通りなんだろ? | ||
和彦 | 163 | 薫ーっ!(10mぐらい離れたとこから必死に呼びかける) | ||
薫 | 164 | 和彦… | 和彦が近寄る足音 | |
和彦 | 165 | (軽く息をはずませ) こんなところで、何してるんだ |
||
薫 | 166 | 悠と決着をつけにきたんだよ | ||
和彦 | 167 | え? | ||
薫 | 168 | 直人の言う通り、僕ももう終わりにするべきだと思う。 | ||
和彦 | 169 | 終わりにって何を? | ||
薫 | 170 | 和彦、君はもう繰り返さなくていい。 ここから湖に飛び込んで悠の傍へ行くのは僕だけ出十分なんだ。 |
||
和彦 | 171 | …は?薫、言ってる意味がさっぱりわからないよ! 御願いだからちゃんと説明してくれ! |
||
薫 | 172 | 僕達はずっと、繰り返してきたんだ。 | ||
和彦 | 173 | なにを繰り返してきたの? | ここから未来帰還3章後編の和幸の台詞69から音声をそのまま重ねます | |
薫 | 174 | 子供の時間だよ。 | ||
悠里 | 175 | 和幸、一緒に死のうよ、子供の時間は一番素晴らしいんだから。 一緒に死んで、生まれ変わろうよ、子供にさ。 そして子供のまま、また死んで、死んだかずぶん、生まれ変わろうよ。 何度も繰り返して、未来へ帰る為に。 |
未来のデータを使うので収録の必要はありません | |
和幸 | 176 | いいよ…一緒に死ぬよ | 未来のデータを使うので収録の必要はありません | |
直実 | 177 | やめろー!(回想ここまで、未来の音声C.O) | 未来のデータを使うので収録の必要はありません | |
薫 | 178 | ねぇ、和彦。 輪廻転生って信じる? …僕達はいくつもの時間を超えて過去にも何度も出会い、僕は君を見つけ出して、僕達は恋をして。 そして僕は再び君に出会う為にここへ来たんだ。 |
||
悠 | 179 | …僕達はいくつもの時間を超えて過去にも何度も出会い、僕は君を見つけ出して、僕達は恋をして。 | ||
和彦 | 180 | それは、悠の意志? | ||
薫 | 181 | …多分ね。 | ||
和彦 | 182 | どうしてずっと…繰り返してきたの?僕が…悠をふったから? | ||
薫 | 183 | …どうだろう…。 でも、僕にはわかるんだ。このまままた君を巻き込んでしまえば、君と僕は、いや直人も則夫もずっと離れられない運命のままだって。 |
||
薫 | 184 | 僕はね和彦…君が好きなんだ。 君を見ていると胸が痛くて、君に触れたくて…この想いは悠の意志なんかじゃない。 これは僕自身の想い、僕だけの恋なんだ。 だから僕は悠の望む運命に抵抗しようと思う。 |
||
和彦 | 185 | 抵抗って? | ||
薫 | 186 | 君を悠から解放してあげるよ。 | ||
薫 | 187 | 僕は悠の気持ちがわかるんだ、すごく、可哀想な奴だよ。 悠は君が一緒に来る事を望んでると思うけど…。 |
||
和彦 | 188 | 薫…待って、もう一度説明してくれ、どうすればいいんだ?僕が出来る事ならなんでも手伝うよ! | ||
薫 | 189 | 悠の傍に僕が一人で行けば、もう繰り返されない、誰も辛い思いをしない。 | ||
和彦 | 190 | 薫? | ||
薫 | 191 | 悠と言う名前の少年が居た事、そしてその少年が君に伝えたかった事は「人を愛する事を恐れないで」という事。時々でいいんだ、思い出してくれれば、それだけで。 | ||
和彦 | 192 | 悠…? | ||
薫 | 193 | 君に会えてよかった、それは悠に感謝してるよ。ありがとう…さよなら。 (ドンと和彦を押しのけて飛び込む) |
ドンと和彦を押しのけて 薫が崖へ飛び込む音 |
|
和彦 | 194 | 薫っ!(驚き息をのむ感じの方で。) | ||
直人 | 195 | かずひこーっ(10mぐらい離れたところから呼びかける) | ||
和彦 | 196 | 直人、大変だ、薫が湖に飛び込んで…!(慌てています) | 直人の足音近づく | |
直人 | 197 | 落ち着いて、大丈夫だ、湖の下で則夫がボートを出せるようにして待ってる | ||
和彦 | 198 | だって、間に合わなかったら!悠の時のように、二度と会えなくなってしまったら! (ぱにくってます。) |
||
直人 | 199 | 急ごう、急いで則夫のところへ行くんだ(せかしています) | ||
和彦 | 200 | いやだ…僕は…僕は薫まで失いたくない! | ||
直人 | 201 | 和彦!いい加減にしろっ | ||
和彦 | 202 | (前台詞にかぶせます)僕はここから飛び込んで、薫を助けに行く! | ||
直人 | 203 | は?! | ||
和彦 | 204 | 大丈夫、直人、僕を信じて。僕は死なない…。絶対に帰ってくる(強く言い切る) | ||
直人 | 205 | やめろ和彦! | 和彦が駆け出す音 | |
直人 | 206 | …まてっおい!…!和彦っ!和彦ーーっ!!! | 和彦飛び込む音 風の音 |
|
直人 | 207 | 違う…俺が望んでいたのは、こんな結末じゃない…! | 直人も走り出し、飛び込む音 風の音、虫の声 |
|
■scene07 ■則夫のモノローグ |
||||
則夫M | 208 | 僕はボートを必死にこいで、直人と和彦と薫の元へ急いだ。 | ||
則夫M | 209 | すぐにみんなを見つける事が出来て、直人と和彦は意識がしっかりしていたけれど… 薫は目を閉じたまま、静かに呼吸しているだけだった。 |
||
則夫M | 210 | 薫はきっと目を覚ましてくれるはず。 | ||
則夫M | 211 | そう信じて、僕は夜通し、彼の傍で祈り続けた。 | ||
■scene08 深海(和彦の夢)悠との別れ |
||||
悠 | 212 | 和彦 | 水音 | |
和彦 | 213 | 悠、会いたかった。 | ||
悠 | 214 | 僕も会いたかったよ…でももうこれが、最期かな。 | ||
和彦 | 215 | …え?(不安に) | ||
悠 | 216 | 僕の望みは叶ったんだ。 | ||
和彦 | 217 | 君の…望みって? | ||
悠 | 218 | 僕は君に知ってほしかった。誰かを愛する気持ちを、愛される事のすばらしさを。 | ||
和彦 | 219 | そうだ…僕は…(思いだし) | ||
悠 | 220 | 君とは何度も未来と過去を…子供の時間を繰り返してきたけれど、君の魂は少しずつ変わってきた。 | ||
和彦 | 221 | 僕の…魂が? | ||
悠 | 222 | うん、だから僕はここでお別れしようと思う。 | ||
和彦 | 223 | 待って、悠、僕は君が好きなんだ。 | ||
悠 | 224 | 僕の役目は終わったんだ。薫にも、お礼を言いたい。 | ||
和彦 | 225 | 悠…いやだ、僕は君と一緒だったらずっと、何度だって生まれ変わって一緒に居たい。 | ||
悠 | 226 | ありがとう、和彦。 | ||
和彦 | 227 | 悠、待ってくれ、悠! | ||
悠 | 228 | 忘れないで、誰かを愛する事恐れないで…君を愛してる。 | ||
和彦 | 229 | ぼくも、僕も悠を…! | ||
<<こ | ||||
和彦 | 230 | 悠! | ||
直人 | 231 | 和彦! | ||
則夫 | 232 | 和彦、大丈夫? | ||
和彦 | 233 | 直人、則夫…(はっとして) | ||
則夫 | 234 | 目が覚めた?夕べ寮に戻ってから、和彦倒れちゃって、ずっと眠ってて…。 | ||
和彦 | 235 | (前の台詞にかぶせて)薫は? | ||
則夫 | 236 | ほら隣、(微笑み)直人のベッドで寝てる。 | ||
和彦 | 237 | よかった、みんな無事だったんだ…。 | ||
直人 | 238 | (あきれて溜息をつき) まさかおまえまで飛び込むと思わなかったよ。 則夫が機転を利かせてボートを湖に出しておいてくれたおかげで、俺達は助かったんだ。 |
||
和彦 | 239 | そうか………則夫、ありがとう。 | ||
則夫 | 240 | ううん、これで薫が目を覚ましてさえくれれば、一安心なんだけどね。 | ||
和彦 | 241 | あれから一度も目を覚ましてないの? | ||
則夫 | 242 | うん…。 | ||
直人 | 243 | 呼吸も安定してるし、大丈夫だとは思うんだけど… | ||
和彦 | 244 | 薫…(薫の傍に近寄る) | 起き上がり、薫の傍に近寄る音 | |
則夫 | 245 | かずひこ… | ||
和彦 | 246 | 薫、御願い、目を覚まして。 僕は、悠の夢を見た、悠は君にもお礼を言いたいって言っていた。 |
衣擦れの音 | |
薫 | 247 | ん…んん… | ||
直人 | 248 | 薫…! | ||
則夫 | 249 | 薫! | ||
薫 | 250 | ん…ここは… | ||
和彦 | 251 | 薫…よかった(抱きしめる) | 衣擦れの音 | |
薫 | 252 | …え…君は、誰?(きょとんとして) | ||
則夫 | 253 | …え? | ||
和彦 | 254 | かお…る? | ||
薫 | 255 | …どうして僕の名前を知ってるの…? | ||
直人 | 256 | まさか、記憶が…? | ||
■scene09 ■則夫のモノローグ |
||||
則夫M | 257 | 薫は転入してきた日の朝から、記憶をすっぽり失っていた。 | ||
則夫M | 258 | 僕達の事も、悠のことも、何も知らない。まっさらな記憶で、僕達の前に居た。 | ||
則夫M | 259 | こうして新しい関係になった僕達4人の夏休みは、もうすぐ…終わりを迎えようとしていた。 | ||
■scene10 新しい4人 花壇にホースで水まきをしている和彦、手伝う薫 |
||||
和彦 | 260 | 薫ー、いいよ。 | ||
薫 | 261 | はーい。 | ホースから勢いよく水が出る音 | |
和彦 | 262 | あ、出た出た。 | ||
薫 | 263 | バケツはいらないのー? | ||
和彦 | 264 | うーん、大丈夫(ホースを持ったまま薫の方を向く) | ||
薫 | 265 | わ!つめたっ!和彦、何やってんだよ。 | ↓ここから台詞小さくなります | |
和彦 | 266 | あ、ごめんごめん。 | ||
薫 | 267 | ホース持ったままこっち向いたら、僕に水がかかるに決まってるだろー!? | ||
和彦 | 268 | ははは、ほんとだね、ごめんよ薫。 | ||
薫 | 269 | じゃー、お返ししちゃおっかな〜!それっ!(バケツの水を和彦にかけます) | 水ぶっかけ音 | |
和彦 | 270 | わっ!つめたっ!(不意打ちに驚きます) | ||
薫 | 271 | ははは!あははは。 | ばちゃばちゃ | |
和彦 | 272 | ぷっはははは、ははははは。 | ||
直人 | 273 | (食堂の窓から則夫と直人が二人の様子を見ている。) フフ(目を細めて笑っています) |
||
則夫 | 274 | 和彦と薫を見てるの? | ||
直人 | 275 | ああ、花壇に水まきをしてるんだけど、二人ともびちゃびちゃだな。 | ||
則夫 | 276 | あー、ほんとだ…ははは。 | ||
則夫 | 277 | (微笑みながら静かに) まるで何も無かったみたいだね。 |
||
直人 | 278 | ああ、薫は少なくともそうだろ、記憶が無いんだし。 | ||
則夫 | 279 | 直人は、これでいいの? | ||
直人 | 280 | これでって? | ||
則夫 | 281 | このまま、薫と和彦が仲良くなって平気なの?(まっすぐな質問です) | ||
直人 | 282 | 平気じゃないさ。でも、今こうして和彦のそばに居られるだけで俺は幸せだよ。 | ||
則夫 | 283 | 直人… | ||
直人 | 284 | 悠は俺達の中で永遠に生きていく事を望んだ。 | ||
直人 | 285 | 俺達はこうして共に生きて、支え合って、手を取り合って生きていけるんだ。 | ||
則夫 | 286 | うん | ||
直人 | 287 | ”少年としての限られた時間を、和彦と過ごすこと”それがどれだけ幸せな事か…。 俺はわかってるから、だから俺は少しでも和彦の傍に居たい。 |
||
則夫 | 288 | …そうだね。…僕も、そうだよ。 | ||
則夫 | 289 | いつか大人になって、みんな遠く離れて、ばらばらになった時 …きっと僕は今のこの時間に思いを馳せるんだと思う。 |
||
直人 | 290 | ああ…そうだな。 きっと思い出すんだろうな。 |
||
和彦 | 291 | 薫、シャツがびしょ濡れだよ、寒くない? | ||
薫 | 292 | 平気だよ、夏だし、全然。暑い位だよ(笑いながら) | ||
和彦 | 293 | そっか、ならよかった(微笑みながら) | ||
薫 | 294 | 和彦は…どうしていつもそんなに僕の事気にしてくれるの? | ||
和彦 | 295 | 君の事が好きだから。 | ||
薫 | 296 | …え? | ||
和彦 | 297 | 少し前まで、悠と言う名の少年が居て、僕は彼から大事な事を教えてもらったんだ。 | ||
和彦 | 298 | 今度は僕が、君にその想いを伝えたい。 | ||
薫 | 299 | 僕に? | ||
和彦 | 300 | ああ、透明で、静かで、決して消えない… 君を想う、僕の気持ちを。 |
||
ナレ | 301 | [ 記憶再生-Summer vacation of 1999- ] | ||
ナレ | 302 | 企画 Spiral Spirit(すぱいらるすぴりっと) | ||
ナレ | 303 | 脚本・編集 武田恵瑠々(たけだえるる) | ||
ナレ | 304 | キャラクターデザイン・イラスト w(ワラ) | ||
ナレ | 305 | 音楽・編集サポート・主題歌アレンジ すさきふみお | ||
ナレ | 306 | 御題協力 モニカ | ||
ナレ | 307 | 主題歌作曲 芸竜作(げいりゅうさく) | ||
ナレ | 308 | 主題歌歌唱 樹透音 | ||
ナレ | 309 | 主題歌アディショナルヴォイス とうざきみつき | ||
和彦 | 310 | 長門和彦 來香滄 | ||
直人 | 311 | 霧島直人 織山カヨ | ||
則夫 | 312 | 榛名則夫 空木さくら | ||
悠・薫 | 313 | 悠、陸奥薫 武田恵瑠々 | ||
ナレ | 314 | ナレーション ヨッシ〜・バラン |