[ 記憶再生-Summer vacation of 1999- ]
第二話 幻影
cast 番号 台詞・情景 効果 BGM
■scene01
■午後の森(薫の夢、悠の回想)
和彦と悠が夢の中で森の中に居ます。
(回想シーンは音声にリバーヴ効果をつけます)
和彦 001 悠、こっちこっち、あははは、あはははは
(所謂、捕まえてごらんなさい系のあははなんですが楽しそうに微笑んで下さい)
環境音森の中
風の音、草むらをかき分けて
走る音走る時、鈴の音
「湖畔」in
002 あはは、待って、和彦、あはは    
和彦 003 ははは…ふふふ、はぁ〜(立ち止まり空を見上げて)
綺麗な雲だなぁ
   
004 あの雲、まるで君の顔に見える    
和彦 005 …え…    
006 いつも君のことばかり、考えているから…(和彦に近寄り)    
007 君が…君のことが…僕にもよくわからないんだけど、こんな事ってよくない事なのかな…    
和彦 008 じゃあ………もう話したりしない方が…いいのかもしれない。    
009 待ってよ!    
和彦 010 悠、僕は君の期待には応えられない。(冷静に。)    
011 そんな風に言わないでよ!頼むから!   「湖畔」C.O.
則夫 012 薫(ここから現実)    
013 ん…んん…(寝ぼけて)    
則夫 014 薫、ねぇ薫ってば。    
015 んん…和彦…    
則夫 016 …和彦じゃなくて、僕は則夫だってば!    
017 …あれ…ここは… 衣擦れの音  
則夫 018 ほら、もう起きて!朝ご飯の時間だよ。    
019 そうか、ここは学院の寮か…。    
則夫 020 夢でも見たの?    
021 え?    
則夫 022 うなされてたよ、ほら、汗びっしょりだし。    
023 あ…うん、そう言えば変な夢だった。(起き上がる) 衣擦れの音  
則夫 024 どんな夢?    
025 何故か、和彦だっけ…あいつと一緒に森の中を走っていて、森を抜けたら湖が見えて…    
則夫 026 それで?(ベッドに腰掛け興味津々に ベッドに腰掛ける音  
027 空に浮かんでる雲が、和彦に思えて…ん…ん…なんでだろう…うーん…(言いずらそうに    
則夫 028 ねぇ、それでどうしたの?    
029 はー(溜息)なんでもない!!(きっぱり言う    
則夫 030 え?(きょとんとして)    
031 もう、どうでもいいよ。なんで和彦の夢なんて見たんだろう。あーあ、もうわけわかんないやっ!
(起き上がって身支度を始め)
歩く音、身支度の音  
則夫 032 やっぱり…僕の思った通りだ。(呟くように)    
033 え?(身支度をしながら)    
則夫 034 薫、君は悠なんだよ…(真面目に確信を持って)    
035 はぁ?(ばかばかしいと聞き返し)    
則夫 036 きっと君は、悠の生まれ変わりなんだ(しっかりとまっすぐに。)    
則夫M 037 転入してきたばかりの薫が和彦の夢を見たことで、僕は確信した。   「記憶再生」in
038 薫は悠に間違いない、いや悠は薫になったんだ、と。    
039 永遠に眠り続ける為に湖の底を選んだのではなく、いつの日か悠が言っていた通り、
少年と言うなの鳥は神に向かって飛んだんだ。
   
■scene02
■オープニング
ナレ 040 彼の愛はいつだって重く、いつだって優しく、いつだって残酷で    
ナレ 041 その事実を拒むまでには幼くなく、けれども受け入れられるまで大人にもなれなかった    
ナレ 042 永遠に辿りつけない 終わり。…終わりの始まり    
ナレ 043 ボイスドラマ 記憶再生 Summer vacation of 1999    
則夫TC 044 第二話 幻影    
■scene03
■午前の教室、4人が自習している  
045 はぁ〜(溜息をつくが誰も相手にしない) 鳥の声
コンピュータの作動音
キーをたたく音
 
046 ねぇ、ねぇ(小声)   「記憶再生」F.O.
則夫 047 何?(少し嫌そうに小声)    
048 なんでみんな勉強してるの?(小声)    
則夫 049 夏休み中にやらなきゃいけない学習プログラムがあるからだよ(小声)    
050 えー、なにそれ(普通の声で)    
則夫 051 シー!(小声で慌てた様子で)    
和彦 052 (振り返り)薫、則夫、午前の個人学習の時間は、私語はなるべく慎んで。    
053 は〜い(嫌そうに)    
則夫 054 午後のグループ学習の時間は喋ってもいいんだよ(普通の声で)    
055 は〜、なにそれ、つまんないの(普通の声で)    
和彦 056 かおる。(注意を促す声)    
057 ふんっ…課題終了!(コンピューターからディスクを抜き)
お先に失礼するよ!
コンピュータからディスクを抜く音
立ち上がる音
 
則夫 058 だめだよ、まだー。(椅子をひき振り返って) 椅子をひく音  
059 どうして?    
則夫 060 だって…時間割があるんだもん。    
061 馬鹿みたいそんなの。    
和彦 062 僕等だけで暮してるんだから、自主的な規律が必要なんだよ。    
063 僕には必要ないね。 和彦立ち上がる音  
064 …!(和彦が立ち上がる)
また殴るっての?逃げようっと。
薫教室から立ち去る音  
則夫 065 いっちゃった…    
直人 066 は〜(溜息をつく)俺、ちょっと様子見てくる(席を立つ) 席を立つ音 「雨音」F.I.
則夫 067 喧嘩しないでね    
直人 068 大丈夫(言いながら去る) 歩く音  
和彦 069 もうほっとけよ…。    
■scene04
■裏山から続く道
薫、裏山へ向かってずんずん歩いている、直人が後を追う
070 は〜あ、いい天気(深呼吸してから歩き出し)
せっかく夏休みなのに、みんな教室で勉強ばっかりして…つまんないの…ふんっ。
(がしがし歩いている)
森草むらをかき分けて歩く音  
直人 071 薫ー(20mくらい離れた背後から声をかける    
072 (立ち止まり振り返って)ん…? 直人が近づく足音  
直人 073 (足早にかけより、軽く息をはずませて)はぁ…はぁ…何処行くの?    
074 別にあてはないけど、直人もサボり?(歩き出す) 二人歩く音  
直人 075 フフ、まぁそんなとこかな。(一緒に歩き出す)   「雨音」F.O.
076 (しばらく無言出歩いた後)ねぇ    
直人 077 ん?    
078 悠って子の事、教えてよ。    
直人 079 気になる?    
080 うん、あれだけ似てるって言われるとね。    
直人 081 則夫と仲がいい2年生で、図書委員だった。本が好きで、大人しい子だったよ。    
082 それから?    
直人 083 …3月(みつき)前、死んだ。崖から落ちてね、でもまだ死体はあがっていない。    
084 自殺じゃないの?    
直人 085 事故さ。    
086 へぇー変なの。    
直人 087 丁度ほら、その目の前の崖だよ。    
088 え? 鳶の声、二人の足音止まる  
直人 089 (二人立ち止まる)
悠はこの崖から落ちて死んだんだ。
   
090 …湖が見える…この湖って…今朝の…(今朝見た夢を思い出し驚いて、後半独り言)    
直人 091 ………ハァーッ(溜息)
薫、君はどうしてここへ来たの?(ちょっと怖めに)
   
092 どうしてって?偶然だよ、裏山を散歩してみようと思ったら…一本道だったし。    
直人 093 そうじゃない。    
094 え?    
直人 095 どうして夏休み中の学院へ転入してきたんだって聞いてるのさ。    
096 ああ、そういう意味か。    
直人 097 何か特別な理由でもあるんだろ?    
098 特別というか、たいしたことじゃないんだけど…    
直人 099 だけど?    
100 母さんが再婚したんだ。    
101 今までずっと母さんと二人で暮してたのに、突然再婚して。
僕は家の中で…余分な存在になってしまった。
   
直人 102 …なるほどねぇ    
103 だいたい、3人だって家へ帰らず寮に残ってるんだし、僕一人位増えたって、かまいやしないだろ?    
直人 104 いや、問題は数じゃない。    
105 じゃあ何?    
直人 106 和彦の事なんだ。    
107 かずひこ…?    
直人 108 ああ、あいつは一年の頃から俺と同室で、堅物な学年長なんだけど
…ちょっとナイーブなところがあってね。
   
109 それで?    
直人 110 昨日聞いただろ?死んだ悠って子は…和彦が好きで、いつも和彦の周りをうろついたり、
手紙を書いてよこしたり…とにかく和彦は迷惑してたんだ。
   
直人 111 悠が死んだ事で…悠も可哀想だったけれど、和彦も下級生達から妙な噂を立てられて、
精神的に参ってた。
   
直人 112 やっと噂が収まってきて、夏休みで他の生徒達も帰省したし、
俺達はゆっくり休息できると思ってたんだ。
   
113 …要は僕が邪魔って事?    
直人 114 いや、薫と悠がいくら似ていても、悠とは別人だ…。言ってみればおまえも被害者みたいなものさ。    
直人 115 薫も薫なりの事情があってここへ来たんだし、4人でうまくやっていきたいと思う。    
116 それで?僕はどうすればいいの?    
直人 117 これ以上和彦に近づかないで欲しい。    
118 …それは君個人の…それとも監督生の権限としての発言?    
直人 119 ………(少し考えて)両方、かな。(にっこりと微笑み)    
120 ふーん。    
直人 121 あいつは特別なんだ。    
122 好きなの?    
直人 123 え?    
124 和彦の事が好きなんでしょ?    
直人 125 ああ、好きだよ、大切なルームメイトだし。    
126 ふふ(鼻で笑い)面白いね、直人って。(歩き出し)気に入ったよ。僕、ここへ来てよかった。   「アトリエ」in
■scene05
■食事の支度則夫が調理をしていて、隣で薫が手伝う。
直人と和彦はテーブルで話し込んでいる。
則夫 127 っいしょっと(フライパンをふりながら)あ、薫、卵混ぜた? 調理の音  
128 まだー、何個だっけ?    
則夫 129 4個だよ、ほら、早くー(微笑ましく) ここから音声小さくなって↓の
和&直台詞とかぶります
 
130 え、ご飯に混ぜちゃっていいの?    
則夫 131 卵だけ先に泡立て器で混ぜてからだよ!    
132 うん、えっと、あ、後1個とっ    
則夫 133 いーい?あ、レシピそっちにあるでしょ?    
134 うん、これを混ぜて…っとご飯はどれくらい?    
則夫 135 自分でレシピ読みなよ〜(笑)    
136 えーっとご飯茶碗でって…どれくらいかな?    
則夫 137 あはは、ほら、早くしないとこっちの具が、っいしょっとっ…ねぇ〜焦げちゃうよ!(笑)    
<離れた場所で話しているので則夫と薫の二人には聞こえません>
直人 138 急に賑やかになったな(微笑ましく見つめ)    
和彦 139 そうだね(淡々と)    
直人 140 和彦。   「アトリエ」F.O.
和彦 141 何?    
直人 142 悠が死んだ日の夜、部屋に届いた手紙ってもう捨てたのか?    
和彦 143 いや…とってあるよ。    
直人 144 後で読ませてほしいんだ。    
和彦 145 どうして?    
直人 146 気になる事があってね    
和彦 147 ………いいけど。    
直人 148 それから薫の事だけど…    
和彦 149 ん?    
直人 150 あいつは薫で、悠じゃない。    
和彦 151 わかってる。    
直人 152 気になるのはわかるけど、あんまりあいつに深入りするな。    
和彦 153 …うん    
<則夫&薫SIDE>
則夫 154 フフフ、ありがとう薫のおかげで助かったよ。    
155 いーえ、どういたしまして。    
則夫 156 朝ご飯の時は直人に手伝ってもらっちゃったし、次は一人で作れるようにならないとね(にっこり    
157 ふーん、直人って面倒見がいいんだね。    
則夫 158 不良っぽく見えるけど、ああ見えて何かと声かけてくれるし、優しくて…
下級生に一番人気があると思うよ。(嬉しそうに
   
159 なんだ、じゃあ直人って誰にでも優しいんだ    
則夫 160 え?    
161 さっき話した時、和彦の事を保護者みたいに心配してたからさ…いい人なんだね、直人って。    
則夫 162 保護者みたいにって、どういう意味?    
163 特別だって言ってたよ。和彦は。    
則夫 164 …そう……なんだ。   「則夫」in
■scene06
■則夫のモノローグ
則夫M 165 悠は和彦が好きだった。そして僕は、直人が好きだった。    
則夫M 166 悠と二人で居る時は、いつも互いに好きな人の話をして、時には明け方まで想いを語り合った。    
則夫M 167 僕達の恋の話は、前向きで、おそれを知らず、無垢で一途で…。    
則夫M 168 直人は和彦が好きだって、最初からわかっていたけれど…それでも僕は直人が好きだった。    
則夫M 169 悠が居なくなってからも、直人と和彦がキスしてるところを見た後も…
やっぱり僕は直人が好きだった。
   
■scene07
■シャワー室
和彦が個室でシャワーを浴びている、扉が開いて薫が入ってくる。
和彦 170 直人? シャワー音、ドアの開く音 「則夫」F.O.
171 残念…僕だよ、和彦    
和彦 172 …薫…か。    
173 シャワー室って以外と狭いんだね、個室も2個しかないし。 薫、衣服を脱ぐ衣擦れの音  
和彦 174 普段はバスルームを使ってるからね。(シャワーを止める)
ここを使うのは運動部の連中と、長期休みの間に寮に残る生徒ぐらいかな。
(個室内でタオルで体を拭いている)
シャワー音止まる
衣擦れの音
 
175 ふ〜ん(薫も別の個室に入りシャワーを浴びる) 薫歩く音、シャワーの音  
和彦 176 (シャワーカーテンを開け、脱衣所へ移動しながら)
薫は寮生活は初めて?
シャワーカーテンの開く音  
177 うん。和彦は、一年からなんだって?ずっと直人と同じ部屋なんでしょ?    
和彦 178 ああ、そうだよ。(シャツに袖を通し、すぐに着替え終わる) 衣擦れ音  
179 喧嘩したりしないの?ずっと同じ奴と一緒の部屋で。    
和彦 180 多少口論になる事はあるけど、必要以上に干渉しないよう、気をつけていれば平気だよ。    
181 じゃあー、殴り合いの喧嘩なんて、僕が初めてだったんだ。    
和彦 182 ………ああ、君が初めてだった。    
183 ふふふ、そっか。(シャワーを止める) シャワー音止まる  
和彦 184 ……薫    
185 ん?(個室内でタオルで体を拭いている) タオルで体を拭く音  
和彦 186 あの時はごめん、殴って悪かった。    
187 よしてよ、僕が先にからかったんだし、僕も殴り返したんだから。    
和彦 188 それでも暴力はよくない、先に手を出したのは僕だ。    
189 (シャワーカーテンを開け出てくる)
学年長らしい模範的な謝罪口上だね。
シャワーカーテンの開く音  
和彦 190 (ムっとして)
失礼だ!僕は心から謝罪してる。
   
191 ごめんごめん、君を見てると、ついからかいたくなっちゃって。    
和彦 192 僕も君みたいなタイプは苦手だよ。(迷惑そうに)    
193 言うね〜、もっと弱気な箱入りの王子様かと思ってたけど。    
和彦 194 学年長なんてやってると、色んな事に巻き込まれるからね。
自己主張ははっきりするよう、心がけてる。
   
195 あはは、見直したよ。    
和彦 196 はぁ…(溜息)ありがとう。じゃあ、お先に。(立ち去ろうとする)    
197 待って和彦。 歩き出す音 「湖畔ロング版」in
和彦 198 何?(立ち止まる) 止まる  
199 僕の悪い癖なんだ。気になる人には、つい意地悪したくなる。    
和彦 200 どういう意味?    
201 だからー、にぶいなぁ…僕は君に興味があるって言ってるんだよ。    
和彦 202 ……そうなんだ。    
203 なんだか、君とは初めて会った気がしないんだよね。    
和彦 204 …僕は…出来れば、君とはあまりかかわりたくない。    
205 悠って子の事、思い出すから?    
和彦 206 ………ああ。    
207 そっか、じゃあ僕は早速ふられたわけか。悠同様に。(茶化す)    
和彦 208 いい加減、悠の話はやめてくれないか。    
209 それはこっちの台詞だよ。
僕が、僕自身が君に興味があるって言ってるのに、君は僕という人間をはなっから見ようとしない。
   
和彦 210 誰を見よう見まいと、僕の勝手だろ。    
211 君も直人も則夫も…口を開けば君と悠の話ばかりで、表面上ばかり取り繕って。    
和彦 212 ……はぁー(大きく溜息)君は……悠とは違いすぎるんだよ…。    
213 だから言ったろ、悠じゃないって(微笑む)    
和彦 214 …確かに、悠じゃない。君は薫だ。    
215 そう思うなら…僕と友達になってよ!ふふ(鼻で笑)ね。    
和彦 216 …そうだね、考えててもいい(つられて微笑む)   「湖畔」F.O.
217 (右手を差し出し)じゃあ、握手して。    
和彦 218 ああ。(手を出した瞬間、ポケットから部屋の鍵を落とし、鍵についている鈴が鳴る)
あ…
鈴の転がる音  
219 …これ…(青ざめる)    
和彦 220 ん?何、どうしたの?(鈴を拾いながら)    
221 この鈴の音は…確か…(夢を思い出す    
和彦 222 珍しい?かな?随分古いものだけど、祖父から貰ったもので…
作りがしっかりしてるから部屋の鍵につけて使ってるんだ。
   
223 ………ふーん    
和彦 224 どうかした?    
225 いや、なんでもない。   「月の下」in
■scene08
■学院の裏手にあるベンチ月夜の下、直人が一人、悠が死んだ日に和彦へ宛てた手紙を読んでいる。
虫の声、風の音が少し。則夫がそこへやってくる。
直人 226 君が… 紙ぺら音  
直人 227 君が僕に助けを求めていないと知っていたけれど    
228 君が僕に助けを求めていないと知っていたけれど    
直人 229 それでも僕は君の力になりたいと想っていた    
230 それでも僕は君の力になりたいと想っていた    
231 そして僕は何も知らない無垢な君を壊すのだろう    
232 全てを失ってもそれでもきみだけは 失えない    
233 きみの世界を彩るひかりがぼくであったなら    
直人 234 きみの世界を彩るひかりがぼくであったなら    
直人 235 はー(溜息)SE 紙を畳む音  
則夫 236 直人…(5mぐらい離れた物陰から声をかけた感じ)    
直人 237 …則夫    
則夫 238 それ…悠が和彦に宛てた手紙でしょ?(直人に近づき) 則夫の足音  
直人 239 ……ああ。(そのままポケットにしまい込む)    
則夫 240 嘘つき!何も受け取ってなかったって、覚えてないって言ったのに!(強めに)    
直人 241 …悪かったよ、でも則夫には関係無いことだろ?    
則夫 242 直人にだって関係ないじゃないか。    
直人 243 薫が学院へ来た事で状況が変わった。俺がサポートしないと、あいつはまた倒れちまう。    
則夫 244 ………薫はきっと悠の生まれ変わりだよ。    
直人 245 …は?    
則夫 246 今朝薫が見た夢の話を聞いたんだ。    
則夫 247 薫は会ったことの無い悠の言葉を思い出して、行ったことの無い場所に和彦と居る夢を見た。    
直人 248 …馬鹿馬鹿しい、ただの偶然さ。    
則夫 249 そう思うなら、直人だって薫の事をそんなに気にしなくたっていいだろ。    
直人 250 今回の事は和彦一人には荷が重すぎる。    
則夫 251 じゃあどうして直人がかかわらなきゃいけないの?直人は和彦の恋人なの?    
直人 252 恋人って…(ごまかし笑いっぽい苦笑をしながら)   「月の下」F.O.
則夫 253 僕、見たんだ…直人と和彦が、キスしてるところ。    
直人 254 キス?(驚き)    
則夫 255 ずっと前から知ってたよ…直人は和彦の事が好きなんだって。    
直人 256 まて則夫、キスって一体…    
則夫 257 とぼけないでよ!昨日の夕食の後、僕がシャワーから戻ってきたら…
…食堂で二人が、キスしてたところ見たんだから…
   
直人 258 則夫、それは誤解だ、あれは…    
則夫 259 誤解でもなんでもいいよ、キスはキスだもん、だから、もういいんだっ    
直人 260 則夫…だから…違うんだよ…    
則夫 261 僕はずっと直人の事が好きだったんだよ。    
則夫 262 ずっとずっと、君の事を見てた。だから君が和彦を好きだって、すぐに気がついた。    
直人 263 …則夫、いい加減にしろって。俺は和彦の事を…    
則夫 264 (前台詞にかぶせます)言いふらされたくなかったら…僕にも…キスして…!
(前半言いにくそうに、”キスして”ははっきりと)
   
直人 265 …え?(驚き)    
則夫 266 (やけです)下級生の間で噂になってもいいの?
先生に知れたら、きっと和彦と部屋を別にされちゃうよ。
   
直人 267 則夫、おまえ…(則夫のやけっぱちに驚きっぱなしです)    
則夫 268 誰にも言わないから、僕にもキスして…。(則夫のすごくかわいいとこです。)    
直人 269 (溜息を大きくついて)
そんな幼稚な脅しはよせって。(あきれて)
   
則夫 270 …直人…!僕は、本気だからね。(真剣です) 虫の声が響く  
直人 271 (間を入れます)
こっちにこいよ(少し怖い声)
   
則夫 272 …直人(ちょいびびり)    
直人 273 キスしてほしいんだろ。    
則夫 274 ……うん…(直人に近寄る) 歩き、直人に近寄る音  
則夫 275 …ん…んん…んっ(キス) 直人が則夫を引き寄せ、キス
衣擦れ音
 
SE 276 直人が則夫を引き離す衣擦れ音    
則夫 277 …はぁ〜(緊張がゆるんで息を大きく吐いています)    
直人 278 これで満足した?    
則夫 279 ……直人…(せつない感情です)    
直人 280 …満足しただろ?さぁ、さっさと寮に戻れ。    
則夫 281 ……直人、僕…    
直人 282 (前台詞にかぶせます)言っとくけど、俺はこれ以上おまえが望むものはあげられないからな。    
則夫 283 これ以上って…僕は…ただ…    
直人 284 いいから先に寮に戻れって。(言い放ちますが怒鳴りではありません)
少し、一人にさせて欲しいんだ。
   
則夫 285 ……うん、わかった……じゃあ先に帰ってる…(則夫立ち去る) 則夫立ち去る音 「記憶」テーマ弦ver.
直人 286 (ポケットから再び手紙を取り出し、溜息をついてから)
きみの世界を彩るひかりがぼくであったなら…か。
虫の声大きく  
則夫M 287 触れたいと願い、愛されたいと叫ぶ感情とか…そんな衝動を抑えられれず。    
則夫M 288 僕は願った罪の生まれたこの日を、生涯忘れることなどないのだろう。    
則夫M 289 直人に触れた、あの一瞬の出来事が忘れられなくて、鼓動が高鳴る胸を押さえた。